2015 Fiscal Year Research-status Report
様々な器官における高次元の再生能力を支える基盤メカニズムへのアプローチ
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15K14560
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 伸 岡山大学, その他部局等, 准教授 (90512004)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 四肢再生 / 過剰肢付加モデル / 再生因子 / 神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の概要は、再生誘導物質を尻尾・脳・心臓・目(網膜・レンズ)に応用し、反応能の有無を組織学的手法・分子生物学的手法によって検証することにある。当研究室で作成した徐放性ビーズに再生誘導物質であるBMP+FGFのカクテルを染み込ませ、再生反応の誘導箇所に埋め込む。再生反応が進んでいるかを判定するために各器官に応じたマーカー遺伝子を単離し、その遺伝子が発生過程を模倣して再発現するかどうかを検証する。BMPとFGFと言う具体的因子を使用することで、これまでに報告されているBMPとFGFによって制御される下流因子制御を参考に解析を進めることができる。下流因子の制御について(四肢を含め)器官横断的に比較することで、基盤的な再生メカニズム解明への足がかりとする。 H27年度は尻尾における再生誘導物質の効果を検証した。四肢と同様の再生誘導物質が尻尾においても働きうることを証明した。同様の効果はメキシコサラマンダーだけではなく、イモリにおいても観察できることから、ある程度の種普遍性があるメカニズムであることが伺われる。本研究成果は成功裏に論文として報告することができた。 レンズについても同様の再生誘導メカニズムが適用できるかを現在追求している状態である。再生体をいくつか観察できてはいるが、確実な効果を断定するに至らないことから何らかの因子が欠失しているものと考えられる。H28年度下流因子の探索とともに、レンズ再生へチャレンジする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レンズの再生誘導に難点は抱えているものの、四肢・尻尾における再生誘導には成功しており、論文も発表できた。今後は器官共通的な効果を担保する下流因子の探索を試みる。このような一連の研究経過は概ね計画通りであると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度はレンズ再生誘導実験、下流因子探索のための方策を練る。現在研究の発展として、ニワトリにおける四肢再生誘導に成功しつつある。高等脊椎動物&モデル生物であるニワトリにおいて再生誘導できるのであれば下流因子の探索はモデル動物を使用したものの方がはるかに容易になるのでニワトリ胚における再生誘導実験も考えていきたい。
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