2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞電池の創造-デンキウナギが持つ発電様式の解析と応用利用-
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15K14570
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
西 真郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生命理工学研究開発センター, 技術主事 (50416004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴若 祐介 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生命理工学研究開発センター, 技術研究員 (30533856)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電圧測定 / RNASeq |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、生物サンプルの飼育環境構築と生物1個体としての発電能について検討し、発電機構を読みとくために必要な条件(サンプリング部位やタイミング)を精査した。さらに発電機構の理解を深めるため、当初計画にはなかったデンキナマズについても入手し同様な実験を行った。 電圧の測定にはMR8880 (HIOKI)を用い、生物サンプル毎に刺激を与える部位や強さを検討した。全長15cmのデンキウナギに刺激を与え電圧を測定したところ、平均22Vの電圧がそれぞれ4mS間隔で2-3回連続して発生した。また発電の耐久性を知るため、1分毎に連続して刺激を与え電圧の有無を測定したところ、33分間まで電圧を発しつづけていた。全長17cmデンキナマズに刺激を与えると、平均15Vの電圧がそれぞれ6mS間隔で4-5回連続して発生しており、刺激を3分間続けると電圧の発生が止まった。 上記の結果やそれぞれの個体差を考慮しながら、発電前、発電中、発電後の組織のサンプリングを開始した。 デンキナマズに関しては、Ion Total RNA-Seq Kit v2 (Thermo Fisher Scientific)にてライブラリーを構築し、機構が保有する次世代シーケンサーのIon torrent PGM (Thermo Fisher Scientific)によりRNASeqをおこなった。その結果Signal TransductionやCell Communicationにカテゴリーされる遺伝子が多く検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生物サンプルは共に棲息地が外国のため(デンキウナギはアマゾン、デンキナマズはアフリカ)入手が想定よりも困難であった事や、飼育時に死んでしまう個体が多くあった事で、RNASeqを開始する時期が若干遅れた。しかし現在は、生物サンプルの飼育方法が確立でき、今後の研究が円滑に進むような環境を整える事ができた。またデンキウナギとデンキナマズの個体として発電パターンを把握しサンプリングを開始しているので、次年度のRNASeqへ滞りなく進める状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
デンキウナギとデンキナマズの、発電前、発電中、発電後の組織を数多く採取していき、シーケンス排出量3GbのRNASeqを、平成28年度中に10検体程度行う予定である。 得られたシーケンスから、組織の状態差や生物種間差における遺伝子発現量の比較解析を行い、発電時に必要な遺伝子セットや、発電ストレスに対しての恒常性維持に関与する遺伝子群を精査していく。
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Causes of Carryover |
デンキウナギとデンキナマズの入手や飼育環境を整わせるのに当初予定よりも若干時間を要した。そのため本年度に予定していたIon torrent PGMのRNASeq試薬購入費の一部と、委託シーケンスを次年度に見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RNASeq試薬や委託シーケンス費用は、平成28年度に行うRNASeqのために使用する。
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