2016 Fiscal Year Annual Research Report
Lifespan extension by peroxidase/dual oxidase-mediated ROS signaling through pyrroloquinoline quinone in C. elegans
Project/Area Number |
15K14574
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 郁恵 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (90219999)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老化 / 活性酸素 / 遺伝学 / 線虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
活性酸素(Reactive oxygen species 、ROS)は、近年、様々な生命現象において重要な機能を担っていることが知られてきた。特に、ミトコンドリアから放出される低レベルのROS(mtROS)は、寿命を延長させることが明らかになった。本研究では、線虫の遺伝学的解析により、生体膜で作用するDual oxidase(BLI-3)によって生成されたROSが、peroxidase(MLT-7)によって分解されることによって、生体膜依存的に、低レベルのROSが産生されることで、線虫の寿命を延長させることを見出した。 また、Redox co-factorであるpyrroloquinoline quinone (PQQ)は、線虫C. elegansの寿命を延長する作用があることを明らかにした。PQQが、生体膜依存的BLI-3を活性化させることで、ROSを産生させ、生体膜依存的MLT-7によって、ROSの分解系が働き、最終的に、寿命延長に必要な、適切なレベルのROSが産生することを突き止めた。 さらに、生体膜で産生した低レベルのROSは、酸化ストレスに関与することが知られている転写因子であるSKN-1/Nrf2 とJUN-1を介して、寿命延長を促進することも明らかにした。in vitroの細胞学的実験により、PQQは、線虫のBLI-3のみならず、ヒトのdual oxidaseであるDUOX1と2も活性化して、ROSを産生させることもわかった。 本研究の解析により、ミトコンドリアから放出されるmtROSとは独立に、膜依存的な活性酸素の合成/分解系を介して産生した低レベルのROSが存在することを発見し、その膜依存的なROSが、セカンドメッセンジャーとして機能することにより、ホルメシス効果によって寿命を延長させることを示唆された。
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