2015 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学的操作による線虫の細胞特異的な1遺伝子座の発現制御法の確立と応用
Project/Area Number |
15K14575
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉 拓磨 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特任助教 (70571305)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 行動遺伝学 / 生物物理 / ゲノム編集技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
少数の神経細胞に恒常的かつ特異的に発現を誘導するrig-3プロモーターDNAの下流に, TALE-VP64-GFPのcDNAを連結し(rig-3p::tale-vp64-GFP), C. elegansへのインジェクションを行った. さらに, TALE-VP64の認識プロモーター配列の下流にDsRedのcDNAを連結したDNAがゲノムに組み込まれたレポーターアッセイ用株と掛け合わせ, TALE-VP64-GFPにより, レポーターDsRedの発現が亢進されるかどうかを確認した. その結果, 再現よく, TALE-VP64-GFPが発現している株では, TALE-VP64-GFPを発現するAMsh細胞で, TALE-VP64-GFPが発現していない株では見られないDsRedの蛍光が観察された. この結果は, TALE-VP64-GFPが, プロモーターを活性化し, DsRedが, 異所的に発現したことを示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は最新のバイオテクノロジーを応用し, 光遺伝学的に細胞得意的に単一遺伝子座の発現を制御する方法の開発とその応用である. 研究目標達成へのステップとしては, 1)VP64による恒常的な発現制御, 2)エピジェネティックファクターによる恒常的な発現制御, 3)得られた人工転写因子の光応答性への変換, 4)記憶・学習過程の操作への適用の4つのステップからなる. 初年度の計画としては, 1)を可能にすることとしていたこととから, ほぼ計画どおりであり, 研究は概ね順調に進展していると考えた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定では, 上述の研究ステップの2)であるエピジェネティックファクターによる恒常的な発現制御法の確立を目指す. ここまでからVP64が機能することが明らかになっていることから, 同じTALE型DNA結合ドメインを用い, これにエピジェネティックファクターを連結し, C. elegansへ導入する. 具体的に利用するエピジェネティックファクターとして, ヒストンH3K27アセチル化酵素CBP1やヒストンH3K4脱メチル化酵素LSD1を利用し, エピジェネティック修飾のオンとオフの両方を人為的に制御可能にすることを目指す.
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