2016 Fiscal Year Annual Research Report
Song complexity in Bengalese finches: Does the neural crest cell hypothesis for domestication acount for that?
Project/Area Number |
15K14581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡ノ谷 一夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30211121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池渕 万季 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (20398994)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 家畜化 / 神経堤細胞 / ジュウシマツ / コシジロキンパラ / オキシトシン / メソトシン / ふ蹠長 / 家禽化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は野生種であるコシジロキンパラとその家禽種であるジュウシマツとの形質・行動・脳・遺伝子の比較から、「家畜化の神経堤細胞仮説」を検討しようとしたものである。今年度は家畜化に関わると考えられているオキシトシンの鳥類ホモローグであるメソトシンのcDNA全長比較を行った。また、口吻長を含む体の形質比較を徹底的に行った。 オキシトシンは親和的行動に関連しており、家畜化・家禽化などの高密度飼育によって増加すると考えられる。しかしコシジロキンパラとジュウシマツのメソトシンcDNAには差異は見当たらず、これまで得られている行動上・形質上の差異(家禽化によるストレス減少、新規恐怖減少、白化、攻撃性減少など)を遺伝子の差異に求めるには、他の候補遺伝子を検討する必要がある。 口吻長を含む体の形質比較では、露出嘴長、全嘴長、鼻孔嘴長、全頭長、嘴幅、嘴高、鼻孔間隔等、主に頭部の形態に関わる数値を計測した。家畜化の神経堤細胞仮説では、頭部と顎部の形質が変化することが示唆されているからである。鳥類の形態計測では、体の大きさの差異を比較するにあたり、ふ蹠長を基準として用いる。ジュウシマツのふ蹠長はコシジロキンパラより平均0.7mmほど大きいので、これを基準に各測定値を比較した。すると、すべての測定値において有意な差は検出されなかった。 これまで、ジュウシマツとコシジロキンパラにおいて、脳の歌制御系の体積には有意な差を検出し、また、行動指標でも特に恐怖反応の減少と攻撃性の減少では有意な差を検出していた。しかし今回計測した体格因子やメソトシンcDNAには差異はなかった。コシジロキンパラの新規輸入が不可能になった現在、この研究をさらに進めるためには、コシジロキンパラの生息地(東南アジア)における国際共同研究が必要である。
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Research Products
(6 results)