2015 Fiscal Year Research-status Report
高精細X線CT装置を活用した生物多様性研究の高精度化
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15K14589
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 理 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (60222006)
近藤 真理子 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70372414)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロCT / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はCT撮影の基礎的な技術の確立を主目的として、撮影実験を行った。撮影において重要な課題は、(1)サンプルの回転移動に伴うノイズを軽減すること、(2)サンプルの固定法をテストすること、(3)撮影後のデータ処理の過程でノイズを軽減するよう適切な計算処理を行うこと、(4)様々な形状とサイズのサンプルに応じた対処法を工夫すること、の4点であった。(1)は撮影の速度等の値を設定する過程で機器の特性に合わせた調整が重要であり、データの質と作業時間とのトレードオフも考慮に入れた選択になる。(2)は、X線の吸収の程度を考慮に入れつつ、振動を生じにくい部材の選択をテストした。特に、液浸標本の場合は、液体部分の対流や蒸発による移動が生じないよう追加の対策が必要である。(3)はソフトウエア上での補正計算の設定を調整した。(4)は非常に多くの要因が関係して結果に影響を及ぼしている。(1)-(3)の検討過程で得られた改善策を組み合わせた上で、サンプルの特性に応じて条件設定を考えることになる。初年度の前半は、撮影の容易な乾燥標本を中心にテストを行い、後半では液浸標本のテストを追加した。特に微小なサンプルや液浸標本は条件設定のための撮影を繰り返す必要が生じることが多かった。研究材料は、軟体動物、棘皮動物、節足動物、脊椎動物、植物等多様な材料を用いたが、材料による違いがあり、サイズが大きいにもかかわらず十分な像が得られなかったサンプルもある。造影剤はヨウ素のみを使用したが、造影剤の選択による効果を今後テストする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、CT撮影の技術確立のための実験的研究を中心に行い、ほぼ当初の計画どおりの撮影を実施することができた。特に、振動によるノイズを軽減するための固定法、データ処理についてある程度の経験値を得ることができた。現在の研究対象は、様々な生物サンプルを用いて、材料による最適な撮影法の検討に移行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに研究を進展させるために、(1)本研究プロジェクトの3ヶ所の研究拠点間の情報交換を強化する、(2)共同研究を通じて多様な研究対象に取り組み、さらに研究技術の向上にとりくむとともに、研究成果の普及に努める。(3)CT装置およびソフトウエアの開発企業との協力態勢を強化する、の3点を推進する。
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Causes of Carryover |
研究材料の入手のためフィールドワークを予定していたが、悪天候のため延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度フィールドワークを行い、執行予定である。
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Research Products
(2 results)