2016 Fiscal Year Research-status Report
高精細X線CT装置を活用した生物多様性研究の高精度化
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15K14589
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 理 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (60222006)
近藤 真理子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70372414)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロCT |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は主に以下の3点について実験的研究を行った。(1) X線マイクロCTを用いた撮影実験:CT装置の電流、電圧、撮影速度、撮影枚数等のパラメータを変えながら、サンプルの設置方法等を試行錯誤し、撮影を行なっている。その結果、石灰化した硬組織(貝殻など)は一部のアーティファクトの出やすい形状を除いて、通常は十分な質の画像が得られるようになってきた。一方、軟体部は低電圧で長時間の撮影が必要で、調整が難しい。ノイズを軽減するためには、金属球を用いた位置補正と多数回撮影による平均化処理が有効である。軟体部は撮影中の乾燥を避けるための処置が必要であり、現時点では様々な容器に密閉して撮影しているが、今後さらに改良の余地がある。(2)タイプ標本3Dデータベース:東京大学総合研究博物館が所蔵する小型の化石貝類のタイプ標本の3Dデータ化を進めている。3D化により非破壊でタイプ標本の内部構造を観察可能になる。既に200種以上の標本撮影を行い、データ作成の過程はルーチン化できている。(3)SPring-8における撮影実験:通常型のCTでは、小型標本は撮影に時間がかかるため作業効率が悪い上に、発熱によるノイズが生じやすい。そこで、放射光X線CT装置による撮影実験を試みて比較したところ、短時間で鮮明な像が得られることが確認された。シンクロトロンは利用機会が限られている点に制約があるが、優れた結果が得られる。また、化石標本の研究にも有効であることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在一定のペースで撮影実験を継続できており、昨年度より安定してより高解像度の像を得られるようになってきた。今後撮影実験を継続することにより、一層の技術向上をはかることができると期待できる。従って、本研究課題の進捗状況はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロCTを運用する各研究機関の間で、CT撮影技術、3Dデータ撮影技術に関する情報交換を一層緊密に行う。そのため平成29年度は日本古生物学会の年会、例会においてマイクロCTをテーマとした夜間小集会を2回連続で開催する。
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Research Products
(4 results)