2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reticulate evolution of reticulate animal color patterns
Project/Area Number |
15K14593
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮澤 清太 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (10377905)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 模様パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子浸透や種間交雑など、網状進化に関わる事象が、環境への適応・新たな形質の獲得など生物進化の過程において小さくない役割を果たしてきたことが近年徐々に明らかとなってきている。動物体表は見られるさまざまな模様パターンは交配選好や擬態等、適応的にも重要な形質であるが、新奇の模様パターンが獲得されるメカニズムについてはまだよくわかっていない。数理モデルにもとづく検討によって導かれた仮説―複雑で擬態的な「網状模様パターン」が「網状進化」によって生じ得る―をもとに、本研究では、網状模様パターンをもつ動物種とその近縁種との間で比較ゲノム解析を行うことでこれを検証し、網状進化という新たな視点から模様パターンの多様性と進化をとらえなおすことを試みた。本研究の当初計画で研究対象としていた魚種のうち一部の属について、極めて興味深い新種が新たに発見、記載されたため、研究計画の延長を伴う見直しを行った。その最終年度となる本年度は、当該種を含む複数の近縁種のサンプル収集および次世代シーケンサを用いたDNA解析を進めた。これらの結果を前年度までのデータと合わせ比較ゲノム解析を行ったところ、一部の魚種において種間交雑を極めて強く示唆するデータが得られ、これは数理モデルおよび模様パターン定量解析にもとづく予測と極めて整合性の高いものであった。これらの成果は、模様パターンという複雑な形質の多様性・進化を数理モデルによる予測をもとに探るという本研究のアプローチの、高い有効性・可能性を示すものであると考える。
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