2017 Fiscal Year Annual Research Report
Rapid local adaptations through airborne dispersal in spider communities formed on artificial islands
Project/Area Number |
15K14597
|
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
林 守人 宮城教育大学, 教員キャリア研究機構, 研究員 (70625037)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 人工島 / 島嶼 / 進化生態 / サラグモ / アシナガグモ / 水上行動 / 風媒分散 / 水媒分散 |
Outline of Annual Research Achievements |
島嶼の生物は,他の陸域の集団と,遺伝的な交流が制限された状態で進化する為,独特の進化を辿る事が知られており,進化生態学的な研究モデルとして有用である.しかし,洋上における,一般的な海洋島では,その年代が数万年~数百万年と非常に古い為,進化が頭打ちになっており,進化のスタート地点である島嶼形成直後の様子を観察する事が難しい.そこで,本計画では,英国の中東部に位置するアッテンボロー自然保護区において,研究を行った.アッテンボロー自然保護区は,形成年代が100年内外という,若い人工群島を有する.今回は,豊富な動物群が見られる人工群島において,中でも行動の観察が容易な,クモ類を研究材料とした. 当地の人工島から採取されたクモ類では,群集形成からわずか数十年にも関わらず,行動における急速な進化が記録された.特に,クモ個体の活動度,長距離と短距離の移動能力,造網頻度,アグレッシブさには深い関係がある事が分かった.これらのクモの形質は,人工群島の年代を追って解析すると,島嶼形成から時間の経った群集では,移動能力や活動度が減少する事が明らかになった.こういった現象は,集団形成など,動物の一般的な性質を理解する上で重要な鍵となる.筆者ら以外による人為撹乱が無い,無人島群から収集したデータは,比較的ノイズが少ない.また形成直後の島嶼群集に関する解析結果には,やはり興味深いものが多い. 特に注目すべきものとしては,分散行動同士の関係に関するものがあげられる.今回,水媒分散と風媒分散の間に進化的なリンクが存在する事が示唆され,水媒分散が進化すれば,風媒分散が進化し,風媒分散が進化すれば,水媒分散の頻度が増大する事が明らかになった.従って,生物分散の二大機構である,水媒,風媒分散は,互いにその進化の速度,発生頻度を高めあう,進化生態的なフィードバックループを形成し,安定化している事が明らかとなった.
|
Research Products
(5 results)