2016 Fiscal Year Annual Research Report
Species richness enhances serially ecosystem services: a test with dipterans, natural enemies, and insect pests
Project/Area Number |
15K14600
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 直 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50182019)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生態系機能 / 種多様性 / 害虫駆除 / 環境保全型農業 |
Outline of Annual Research Achievements |
栃木県塩谷町において、水田害虫の土着天敵として知られるアシナガグモ類が水田と水路の餌量の季節的な変化に応じて、生息環境を変えることを明らかにした。この地域のアシナガグモ類は、主に非耕作期は代替生息地として水路を利用していること、害虫以外に水辺から発生するハエ目昆虫が主な餌であることがわかっている。このことから、以下のような仮説を検証した。①アシナガグモ類の個体数は、餌量とともに多くなる。②餌量は、水田で水深が低くなるほど少なくなる。③水田で水深が低くなるにつれて、水田よりも代替生息地である水路で餌量は多くなる。④田植え直後の水路でアシナガグモ類の個体数が多いほど、水田に移入する個体数が多くなる。⑤水田でアシナガグモ類の個体数が多いほど、その周辺の水路の個体数が後に多くなる。本研究では、まずアシナガグモ類が実際に捕食している餌量を定量的に評価する方法を確立した。そして、4時期で水田と水路のアシナガグモ類の個体数と餌量を評価した。その結果、仮説の①、②、③、④が一部支持された。①に関しては、水路から水田へ移入を開始する時期に、餌量ではなく、移入する前の水路の個体数が有意に影響しており、また水路の餌量が多い場所で個体数が多くなった。これは水路から水田へのスピルオーバーを示唆している。また、水田で最も水深が低くなる時期では、餌量と水深に有意な関係性はなく、水深が直接アシナガグモ類に有意な影響を及ぼしていることがわかった。
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