2015 Fiscal Year Research-status Report
宿主操作の神経メカニズムから生態系間資源流の時空間変動を解明する
Project/Area Number |
15K14606
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 拓哉 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30456743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 将紀 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00432550)
佐倉 緑 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60421989)
久保 拓弥 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 助教 (80344498)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宿主操作 / 生体アミン / 寄生者介在型エネルギー流 / 神経メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、寄生者ハリガネムシ類による宿主操作の神経メカニズムの解明から、生態系間相互作用を駆動する宿主介在型エネルギー流の時空間変動を予測することである。 本年度は主に、(1)ハリガネムシ類の主要な宿主であるカマキリの室内感染実験系の確立、(2)宿主操作による活動パターンの変化に関する行動実験と生体アミン類の宿主脳内での発現パターンの測定、および(3)宿主操作による入水行動の生起に関する光応答実験を実施した。また、活動量、生体アミン、および光応答に関わるデータを時系列で解析する統計モデルの検討を行うとともに、野外実証試験のためのサイト準備を行った。 ハリガネムシ類の室内感染実験系については、ハリガネムシ類卵塊の孵化条件、中間宿主(ユスリカ類・巻貝類)への人為感染、および終宿主(ハラビロカマキリ)への人為感染の効率的な手法を概ね確立することができた。ハリガネムシに感染したメスカマキリ個体と非感染のメスカマキリ個体それぞれについて、実験室内に設置したアリーナで昼夜にそれぞれ行動観察を行った結果、ハリガネムシの脱出前一週間に、感染カマキリで活動量の大きな増大があった。また、脳内の種々の生体アミンの含有量を分析した結果、特にドーパミンとオクトパミンにおいて寄生に伴う量的変化が観察された。 今後、行動操作の神経メカニズムをさらに詳細に明らかにするとともに、それによって自然界で宿主個体が入水する時間と場所をどこまで予測できるかを統計モデルと野外実験によって明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経メカニズムの解明については、行動実験と脳内の生体アミンの量的変化をともに測定できており、当初計画よりも進んでいる。行動や種々の生体アミンの量的変化の時系列解析については、適当な統計モデルを検討している状態である。また、野外実験のサイトについては、大規模野外実験の実施のサイトを確保することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
神経メカニズムの解明で得られる行動データや脳内生体アミンの量的変化のデータ取得に合わせて、適宜実データの解析を進める予定である。 また、野外検証については、自然界でハリガネムシ類が宿主操作を行う秋までに、感染カマキリを放逐するビニールハウスの設営や光条件の異なる水辺の設定等、詳細な条件検討を行って実験を開始する予定である。 これらを円滑に進めて、適宜論文化を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
当初27年度中に予定していた大規模野外操作実験の資材購入やRNA発現解析を28年度に実施する計画にしたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画の進捗に合わせて、適宜大規模野外操作実験の資材購入とRNA発現解析を進める予定であり、次年度使用額はそのための費用として妥当である。
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Research Products
(1 results)