2015 Fiscal Year Research-status Report
エピゲノム変化を介したアグロバクテリウムによる遺伝子導入抑制機構の解明
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15K14632
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Research Institution | 国立研究開発法人農業生物資源研究所 |
Principal Investigator |
川勝 泰二 国立研究開発法人農業生物資源研究所, 機能性作物研究開発ユニット, 主任研究員 (30435614)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピゲノム / アグロバクテリウム / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
病原菌に対する防御応答のトランスクリプトーム解析は精力的になされてきているが、バルクサンプルが用いられており、ダイナミックな変動が希釈されている可能性がある。本課題では、アグロバクテリウム感染細胞特異的な、イネのエピジェネティックな防御応答反応の解明を目的としている。平成27年度は、「アグロバクテリウム感染細胞核を単離する系の確立」及び「クロマチンランドスケープ解析」に関する実験・解析を行った。核膜をビオチン化し、ビオチン-ストレプトアビジンの親和性を用いて核を単離するINTACT法を用いてアグロバクテリウム感染細胞核を単離するため、N末側に核膜局在シグナルペプチドを、C末側にビオチンリガーゼ認識配列を付加したGFPをトウモロコシユビキチンプロモーターで恒常的に発現させるバイナリーベクター(NTFベクター)と、ビオチンリガーゼ(BirA)をトウモロコシユビキチンプロモーターで恒常的に発現させるバイナリーベクター(BirAベクター)を構築した。GFPベクターを難形質転換品種コシヒカリと易形質転換品種カサラスに導入し、形質転換体を作出した。また、NTFベクターとBirAベクターをキタアケに導入し、T0世代カルスからINTACT法を用いて簡便に核単離が行えることを検証した。これはシロイヌナズナ以外の植物で初めてINTACT法が有効であることを示した例である。クロマチンランドスケープ解析にはTn5トランスポゼースを用いるATAC-seqを行う予定であるが、Tn5トランスポゼースは非常に高価である。そこで近年報告された自作プロトコールに従いリコンビナントTn5トランスポゼースを大量生産・精製した。このTn5トランスポゼースが論文と同等の活性を有していることも確認したため、平成28年度には、効率的にATAC-seqの条件検討を進められることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベクター構築および形質転換はスケジュール通りに進んだが、想定以上に開花が遅れてしまったため、アグロバクテリウム感染実験を行うことができなかった。ただし、予定になかった、キタアケを用いてイネにおけるINTACT法実証実験を行い、その有効性を示すこと、条件検討を完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
NTFベクターを形質転換したカルスにBirAベクターを有するアグロバクテリウムを感染し、一過的発現によるGFPのビオチン化を確認する。もしGFPのビオチン化が確認できなかった場合、NTFベクターとBirAベクター双方を形質転換したキタアケカルス塊を細かく砕き、アグロバクテリウム感染の有無でクロマチンランドスケープ解析を行う。カルス塊を細かく砕くことにより、カルス塊あたりのアグロバクテリウム感染細胞の割合を上げることができる。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンス解析を行わなかったため残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に予定していた次世代シークエンス解析を行う。
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