2016 Fiscal Year Research-status Report
エピゲノム変化を介したアグロバクテリウムによる遺伝子導入抑制機構の解明
Project/Area Number |
15K14632
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
川勝 泰二 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門 新産業開拓研究領域, 主任研究員 (30435614)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エピゲノム / アグロバクテリウム / カルス / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
病原菌に対する防御応答のダイナミックな変動を捉えるため、本課題では、アグロバクテリウム感染細胞特異的に、エピジェネティックな防御応答反応を解明することを目的としている。平成28年度は、「アグロバクテリウム感染細胞核を単離する系の確立」に関する実験・解析を行った。核膜をビオチン化し、ビオチン-ストレプトアビジンの親和性を用いて核を単離するINTACT法を行うために、核膜にビオチン化を受けるGFPを発現する難形質転換品種コシヒカリ及び易形質転換品種カサラスの形質転換体の種子を得た。これらの形質転換体由来のカルスにビオチン化酵素(BirA)を発現するバイナリーベクターを持つアグロバクテリウムを感染することで、GFPがビオチン化を受けることを確認した。同程度の量のGFPが発現しているコシヒカリとカサラス間では、ビオチン化効率がカサラスの方が顕著に高いことから、アグロバクテリウムの感染効率がカサラスの方がコシヒカリよりも高いことが明らかになった。このことから、コシヒカリの難形質転換性はアグロバクテリウム感染効率が低いことが原因であることが示唆された。また、アグロバクテリウム感染していないカルス塊と感染したカルス塊を用いてH3K9me2及びH3K9acのイムノブロットを行なった結果、顕著な差は観察されなかった。したがって、カルス塊としてはアグロバクテリウム感染の有無でゲノム全体の顕著なエピゲノム変化は起こらないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ATAC-seqライブラリー調整法の条件検討に時間を要し、本年度にATAC-seqを実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
INTACT法で単離したアグロバクテリウム感染細胞とアグロバクテリウム感染カルス塊由来の核を用いてATAC-seqを実施し、アグロバクテリウム感染細胞特異的なエピゲノム変化を捉える。
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Causes of Carryover |
実験の条件検討に予定よりも時間を要し、その実験に関わる次世代シークエンサー解析(受託解析)の契約が遅れたため、次年度に解析をずらした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定通り、次世代シークエンサー解析に使用する。
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Research Products
(1 results)