2016 Fiscal Year Annual Research Report
Cultivation memory in crop seed: analysis of epigenome in maturated seeds
Project/Area Number |
15K14639
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石橋 勇志 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50611571)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子実登熟 / 高温ストレス / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
登熟期の環境が次世代の表現型に影響する可能性を調査する為に、環境として高温ストレスを設定し、次世代の表現型を調査したところ、イネの登熟過程において高温ストレスが種子休眠を強くすることが明らかとなった。一次枝梗の上位、下位、および二次枝梗において発芽率は変わらず、高温登熟による種子休眠の誘導は著粒位置に関係ないことから、転流等の同化産物の供給は無関係であることが明らかとなった。次に、種子休眠・発芽機構にかかわる遺伝子について解析を行なったところ、植物ホルモン関連に加えて、加水分解酵素の発現にも影響する事が示唆された。現在のところ休眠関連遺伝子についてエピジェネティックな変化は確認されていないが、変動遺伝子のプロモーター解析により高温登熟による種子休眠誘導に関する新規転写因子の可能性を見いだした。その転写因子の発現は登熟期間の環境に影響し、収穫後の発芽機構に関与する事が示唆された。さらに、登熟期間において高温ストレスを処理し、収穫後、玄米品質の調査を行った。その結果、高温登熟による玄米品質の低下には、活性酸素によるアミラーゼ誘導が関わっている事が明らかとなった。更に,あらかじめ高温ストレスを経験した場合、2年目の高温ストレスを経験した子実では玄米品質に影響があることが明らかとなった。さらに、その要因解析の結果、デンプンの合成や分解の調節による可能性が示唆された。以上の結果は、登熟期の環境状態が、収穫した子実の次世代の生育に影響することを示唆しており、今後、優良な種子生産のためには、登熟期の環境を考慮する必要がると考えられる。
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