2015 Fiscal Year Research-status Report
NMRメタボロミクスによる畑作物の省力化育種・栽培技術開発のための基盤的研究
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15K14643
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
関山 恭代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門・食品分析研究領域, 主任研究員 (60342804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 和之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・畑作物開発利用研究領域テンサイ育種グループ, 主任研究員 (90549239)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | NMR / メタボロミクス / テンサイ / 褐斑病 / ジャガイモ / そうか病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、核磁気共鳴(NMR) 法による代謝物の網羅的解析(メタボローム解析)を活用し、新たな育種・栽培技術の開発の可能性を検討することとなっている。解析対象はジャガイモのそうか病およびテンサイの褐斑病とし、植物体の代謝プロファイルを調べ、抵抗性の違いや圃場の特性を反映する代謝変動を明らかにすることを目的とする。 平成27年度は、健全圃場およびそうか病汚染圃場で栽培したジャガイモを対象に、通常病徴の判断に使用されない地上部に着目してNMR法によるメタボローム解析を行った。その結果、そうか病汚染圃場で栽培したジャガイモの複葉抽出物にはギ酸(δ 8.46 ppm)が多く、健全圃場で栽培したジャガイモの葉にはクエン酸(δ 2.54 ppm)が多い傾向が見られた。さらに、複葉抽出物のクエン酸とギ酸の量比(クエン酸量/ギ酸量)を算出することによって、健全圃場及びそうか病汚染圃場の差異を精度よく検出できる可能性が示唆され、この成果について特許出願を行った(関山ら、「ジャガイモ作物体の生育状態診断方法」特願2015-109720、2015年5月29日)。また、褐斑病抵抗性の異なるテンサイの葉の代謝プロファイルとおよび生育ステージに伴う変化を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りジャガイモおよびテンサイのメタボローム解析を実施し、ジャガイモそうか病に関連する代謝変化について、特許出願を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きジャガイモそうか病およびテンサイ褐斑病関連のメタボローム解析を実施し、年次間差異を検証するとともに、抵抗性の違いや圃場の特性などを反映する代謝物の同定を行う。
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Causes of Carryover |
テンサイのサンプリングについて、当初の予定よりも効率的なサンプリング方法を考案したため、見込んでいた消耗品費が不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度テンサイ褐斑病の追試験に加え、ジャガイモそうか病の関連の試験区を追加する。そのための栽培やサンプリングに必要な消耗品の購入に使用する。
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