2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of diurnal rhythm of sugar concentration of the phloem sap on fruit developement
Project/Area Number |
15K14647
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河鰭 実之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (10234113)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人工光型植物工場 / トマト / 師部液 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工光型植物工場の研究開発が進み,レタス等の葉菜類では栽培がほぼ確立されている.一方,主要な野菜であるトマトの植物工場生産は,太陽光利用型に限られ人工光型植物工場での栽培は未だ実現していない.本研究では,人工光型植物工場によるトマト生産を目指し、光周期と果実品質との関係について調べようとした. 果柄によって植物体とつながった果実の成長および品質は,果柄を通って果実へ流入する師部液により支えられている.果実への師部液の流入量が多ければ果実成長は促進される.しかし、流入量の多さだけでなく,糖と水の流入バランスが重要である.トマト果実へ流入する水の大部分が師部を経由していると考えられており,このことから,師部液の糖濃度を高められれば果実糖濃度も高まることを予測される. 師部液糖濃度をモニタリングする方法としては,果柄を切断してEDTA溶液に浸漬し,溶出した糖の量を測定する方法がある.この方法による計測では,定性的ではあるが師部液糖濃度は正午頃にピークとなる日周期リズムを示した.しかし、この方法には連続測定ができない、溶出した師部液の液量を正確に知ることが難しく測定された師部液糖濃度の信頼度が低いという問題点があった.それに変わる方法として,H27年度より近赤外光吸収スペクトルによる葉内の糖濃度の計測を試みている.この方法は近赤外光における水の吸収ピークの変化を元に測定するもので、一定の糖度の推定は可能であった.しかし,実際の果実品質に影響すると思われる10-30%程度の濃度変化を検出することは困難であった.また,実験に用いたLED型植物工場では、トマトの十分な生育が達成できないという問題があったため、品質への影響を評価することはできなかった.今後の課題として,トマトの発育を可能とする新しいLEDの開発と師部液の糖濃度をモニタリングするシステムの改良が必要であった.
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