2016 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of the number of the peel surface stomata on fruit splitting in citrus
Project/Area Number |
15K14655
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
羽生 剛 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (60335304)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カンキツ / 裂果 / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はカンキツの裂果発生機構を明らかにすることを目的とし,昨年度は裂果感受性品種と非感受性品種の形態的差異と裂果との関係を本年度は形態的差異と遺伝子発現との関係について調査を行った. 昨年度行った実験の結果,裂果の発生は果皮表面の気孔数の差異や果実表面からの吸水が原因ではなく,急速な果実肥大と降雨の時期が重なることに加えて果皮が薄いことが原因であることが示唆された.そこで本年度は裂果感受性と非感受性品種種の砂じょうの成長パターンの違いや果皮の厚さの差異についての遺伝的差異を明らかにすることを目的とし,果肉と果皮の網羅的遺伝子発現解析を行った.裂果感受性品種の‘愛媛果試第28号’および非感受性品種の‘清見’と‘せとか’の果皮と果肉を7月20日および9月6日,10月26日にサンプリングし,RNA-seq解析を行い,品種間や時期によって発現が異なる遺伝子を抽出した.果皮の発現解析では,細胞分裂に関係しているCDC6やCycD6で果皮の薄い‘愛媛果試第28号’,‘せとか’と厚い‘清見’で発現に差異が見られたが,発現量が低く,これらが果皮の厚さと関係しているかどうかはさらに調査が必要であると思われた.果肉の発現解析では,細胞肥大で重要な細胞壁のゆるみに関係しているエクスパンシンやキシログルカンエンドトランスグリコシラーゼ/ヒドロキシラーゼ,ペクチンメチルエステラーゼなど品種間で発現パターンが異なっているものがあり,これらの違いが砂じょうの伸長や肥大のパターンと関係している可能性が示唆された.さらに,bZIPなどの転写因子やジベレリンやエチレンの生合成やシグナル伝達にかかわる遺伝子についても品種間で発現パターンの違いが見られ,これら転写因子や植物ホルモンが上述の下流遺伝子を制御している可能性が示唆された.
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