2016 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア感染性ウイルスの感染機構の解明と有効利用
Project/Area Number |
15K14663
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 信弘 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (70206514)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / ミトウイルス / 菌類ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
実施項目8bでは、ミトコンドリア画分(Neurospora crassa由来のミトコンドリア局在性蛋白質NTPase Subunit 9とGFPの融合蛋白質:Su9:GFP標識)の形質転換体の作製に前年度成功した。しかし、継代中にGFP蛍光が低下するという問題が生じた。RNAiが関与しているとの想定のもと、これを解消すべくRNAi欠損株を用いて同じ実験を繰り返したが、問題の解決には至らなかった。 Cryphonectria parasitica mitovirus 1 (CpMV1)の宿主範囲を細胞融合法により調べるた。その結果、C. radicaris, Valsa sp.、 C. parasitica EP155(標準系統)にも感染できることを明かにした。 実施項目9感染性クローンについてであるが、 bの核型コンドンに変換した完全長cDNAあるいはRNA依存RNA合成酵素(RdRp)遺伝子コンストラクトは作製済みである。これらは、H29年度の感染性クローンの構築に利用される。他の実施項目は今後の課題となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年度、期待していた修士課程の学生が就職のため退学したため、予定より若干遅れている。昨年度、新たに入学した修士課程の留学生と本研究を強力に推進しているし、今後も推進していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年積み残しとなっている下記の課題を推進する。8. a.ミトウイルス(CpMV1)の複製がミトコンドリアで行われることを証明するため、精製ミトコンドリア画分を用いてミトウイルスのin vitro複製装置の再構築を試みる。In vitroまたはin vivoで合成したウイルスRNAとタンパク質(RdRp)を各細胞画分のライセートに添加し、マイナス鎖RNA合成を指標としてウイルス複製を評価する。タバコモザイクウイルスin vitro複製系を参考とし、ミトコンドリア成分共存下において特異的にミトウイルスが複製することを示す。b. CpMV1-RdRpとウイルスRNAの複合体がミトコンドリアのどの部位で検出されるかを免疫電顕法で詳細に観察する。ミトコンドリアの切片を得やすくするために、ミトコンドリア画分(Neurospora crassa由来のミトコンドリア局在性蛋白質NTPase Subunit 9とGFPの融合蛋白質:Su9:GFP標識)を精製し、超薄切片を作製する。9. ミトコンドリアで使われるtRNA(RNA用)とATPase(RdRp蛋白質用)の輸送系に牽引させる手法を採る。a. tRNA配列をミトウイルスへ付加する。リボザイムにより輸送後にtRNA領域が分離されることを期待する。導入ウイルス核酸としてDNA(核ゲノムからウイルスRNA供給)あるいはRNA(電気穿孔法により直接供給)ベースの試料を用いる。b. ミトウイルスRdRpにATPaseの輸送シグナルを付加、細胞質内でミトウイルスRNA(核ゲノムから供給)-RdRpの特異的結合の後、ミトコンドリアへの輸送・放出を期待する。核型コドンに改変したRdRp遺伝子を合成後、輸送シグナルとの融合タンパク質遺伝子を構築し、宿主の核染色体へ導入する。10.逆遺伝学を用い、ベクター化を進める。
|
Causes of Carryover |
当初携わっていた修士課程学生が就職により、退学した。新たに入学した修士課程の留学生と本研究を進めているが、ウイルス分子生物学的研究は、彼女にとっては新たな挑戦的課題である。そのため、研究が少し予定より遅れてしまった。その結果、研究費の次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度は、残額を適正にしようする予定である。
|
Research Products
(3 results)