2015 Fiscal Year Research-status Report
水田土壌における脱窒反応への「非脱窒細菌」の寄与を探る
Project/Area Number |
15K14675
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
妹尾 啓史 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40206652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 一夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30621833)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脱窒反応 / 水田土壌 / 非典型的脱窒細菌 / 土壌微生物 / 土壌学 |
Outline of Annual Research Achievements |
水田土壌の脱窒反応が、脱窒反応の一部を担う「非典型的脱窒細菌」の分業体制によっても進行している可能性を検証するために、今年度は室内モデル実験系の確立を行った。 新潟県農業総合研究所内の水田から採取した土壌をバイアル瓶に入れ、脱窒反応の各ステップの窒素化合物として15N-硝酸、15N-亜硝酸、15N-N2Oを添加した。さらに、N2ガスへの脱窒反応が良好に進行させる炭素源として、グルコース、コハク酸、酢酸の混合物を土壌に添加した。硝酸がアンモニアへの異化的還元(DNRA)ではなく、脱窒反応に使われるよう、C/N比が3となるようにした。気相をヘリウムで置換して嫌気的に培養し、添加した各15N-窒素化合物ならびに15N-窒素ガスの物質量の変化を、GC-MSを用いて測定した。 その結果、添加した15N-窒素化合物が順次還元されて最終的に窒素ガスになっていく過程を物質変化から追跡できることが分かり、微生物解析によって分業脱窒を検証するためのモデル実験系として妥当であることが明らかになった。 今後、土壌からRNAを抽出して脱窒反応の各ステップの酵素遺伝子を対象として解析し、脱窒の各ステップを担っている微生物の群集組成を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H27年度に土壌RNA解析を行う計画としていたため、やや遅れているといえる。しかし、脱窒反応の各ステップの進行を定量的に追跡できる実験系を確立できたことは、実験の再現性と信頼性の観点から重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル実験系の土壌のRNA解析を実施して、分業脱窒の可能性を検証する。さらに、水田圃場の土壌についても同様の解析を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度に計画していた土壌RNAの解析が遅れたため、それに要する試薬等の物品費に当初予定との差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として土壌RNA解析に必要な物品費に使用する。
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