2016 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of an encourage factor released by a plant
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15K14677
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金丸 研吾 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (90260025)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンパニオンプランツ / エンカレッジファクター |
Outline of Annual Research Achievements |
種の異なる植物を混植した場合にみられる正の効果を「コンパニオンプランツ」現象と呼び,様々な植物間で現象報告がある。しかし,科(化)学的裏付けがまだ乏しく,分子機構は不明な部分が多いため,活用は小規模かつ限定的なのが現状である。申請者は野外実験で,単子葉作物と混植状態になった特定植物を出穂期前に抜き取ると,作物の生育が格段によくなり,収量が向上することを見つけた。この現象は人工栽培室の制御環境下でも,双子葉植物や藻類でも再現できた。したがって,この正の作用をもつエンカレッジファクターの実体と遺伝子発現レベルの分子機構を解明すれば,単品種栽培が主流の農業に,科学的根拠に基づく混植栽培法の普及や産学連携での新規生育促進剤開発などで貢献し,植物科学にも新たな概念と研究展開を提供できると考えた。そこで本研究では,このエンカレッジファクターの化学的諸性質の解析と同定,遺伝子発現レベルでの作用点探索を進めた。2年目は1年目の成果をふまえ遺伝子発現への影響と主要成分の分離についてさらなる解析を進めた。その結果,この植物抽出液をシロイヌナズナに投与すると同野生株や変異株(生育促進効果がより顕著)で発現レベルが明確に上昇する少なくとも9つの遺伝子を同定した。その中には栄養ストレス応答やホルモン応答に関与する3つの転写因子と,色素体の発達,脂肪酸合成,孔辺細胞分裂に重要な遺伝子が含まれていた。さらに抽出物を水層と有機層に分離したところ,一方のみに活性があることがわかり,活性のある画分とない画分の成分比較から,新規の植物活性化物質とみられるものが検出された。以上より,この植物の抽出物にはエンカレッジファクターである可能性が高い新規物質が含まれ,抽出物は特定遺伝子の発現調節を介して植物の生育を促進していることが示唆された。現在これらの成果をもとに企業と共同で特許申請と上市を目指している。
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