2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular ecological analysis for traditional rice vinegar brewing
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15K14687
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 正治 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30193262)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酢酸菌 / 黒酢 |
Outline of Annual Research Achievements |
蒸し米と麹と地下水のみを材料とし、壺内での微生物の代謝によってのみ発酵が進行する壺造り純米黒酢において、発酵中の菌叢の変遷について、主として次世代シークエンサーを用いて研究を行った。黒酢醸造においては、熟成のために「壺寄せ」を行っている。即ち、3つの壺内の発酵液を2つにまとめ、屋外に静置をしている。この黒酢醸造後期の熟成課程における菌叢の変化に関する知見はほとんどない。熟成期における菌叢の変化と微量成分の生成を関連づけることで、壺造り純米黒酢に特有の微量成分を生成する微生物の解明につながる可能性もある。本研究では、熟成期の微生物の変遷を明らかにすることを目的として、次世代シークエンサーによる菌叢解析を行った。 熟成期における熟成期間の異なる(壺寄せ直後から壺寄せ後およそ300日)13×3連のサンプルに対し、16S rRNA遺伝子に基づく次世代シークエンサーを用いた解析を行った。 門レベルでの菌叢比較解析およびβ多様性を用いた多様性解析の結果から、熟成期において、熟成日数の経過とリンクして菌叢変化が起きており、特に熟成日数150日から300日にかけて大きな菌叢変化が起きていることが示された。また、属レベルおよび種レベルでの菌叢解析の結果から、熟成期において最も大きな比率を占めるのはLactobacillus属(Lactobacillus acetotolerance)が最も優占的に存在していることが示された。一方で、菌叢全体におけるL. acetotoleranceの存在比は熟成日数の経過とともに低下し、それに呼応するようにAcetobacter pasteurianusやKomagataeibacter xylinusといった酢酸菌の存在比率が上昇していることが示唆された。
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