2016 Fiscal Year Research-status Report
リンの酵素的酸化反応を利用した二酸化炭素からのポリエステル微生物合成
Project/Area Number |
15K14689
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柘植 丈治 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (70332260)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 亜リン酸 / 補酵素 / ポリエステル合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本提案課題では、リンの酵素的酸化反応を利用して微生物細胞内での補酵素再生を強化し、バイオポリエステル合成の効率化および二酸化炭素の固定化を行うことを目的としている。 昨年度は準備段階として、補酵素NADおよびNADPをリンの酸化反応を利用して再生するために、両補酵素に対して高い活性を示す変異体酵素を作成した。 今年度(平成28年度)は、インビトロ系においてリンの酸化を利用した補酵素再生系を構築し、まずはモノマー供給に係るレダクターゼとリンクさせ、モノマーの合成反応が進行するのかを調べた。その結果、インビトロ系では正常に機能し、リン酸を酸化することでモノマーを合成する還元力が供給されることを確認した。次に、この補酵素再生系をポリエステル合成細菌である水素細菌に導入し、インビボ系における補酵素再生の強化を試みた。しかしながら、キャピラリー電気泳動で培養液の生成リン酸濃量を確認したところ、その量は僅かであり、リンの酵素的酸化が想定していたほど進行していないことが明らかになった。すなわちこの結果は、補酵素再生が僅かにしか強化されていないことを意味する。また、水素細菌は二酸化炭素を直接資化することができるが、補酵素再生を強化することによる二酸化炭素の資化促進は確認できなかった。そこで、宿主を大腸菌に変え、インビボ系にて補酵素再生の強化を試みた。大腸菌系では、リンの酸化が観察され、補酵素供給が強化されることが確認できた。最終年度は、補酵素再生強化により大腸菌の代謝にどのような影響が現れるのかを調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた水素細菌では、補酵素再生の強化による二酸化炭素の固定化促進効果が確認できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は宿主を大腸菌に変え、補酵素再生強化が大腸菌の代謝にどのように影響するのかを調べる。また、なぜ水素細菌では補酵素の再生強化できなかったのかについても考察を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品および試薬類の購入を当初の計画より抑えることができたから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残金は、次年度以降に試薬代および消耗品代として使用する予定である。
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