2015 Fiscal Year Research-status Report
革新的手法で導く未培養重要微生物の世界初の分離培養
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15K14696
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
青井 議輝 広島大学, サステナブル・ディベロップメント実践研究センター, 特任講師 (40386636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田一 智規 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10379901)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アナモックス細菌 / セルソーター / 分離 / 集積培養 / 連続培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアナモックスに主に焦点を当てて、集積培養およびセルソーターによる物理的・選択的分離を試みた。 1.集積培養:アナモックスの場合、上向流式の連続培養バイオリアクターを用いてアンモニアおよび亜硝酸を主成分とする基質を供給し続け、占有率50%以上のバイオマスを実験期間中安定して取得できるような状態を維持することに成功した。 2. アナモックスの選択的に分離物理的・選択的分離:セルソーターを用いて二つの散乱光のシグナル強度比から得られる形態学的特徴に基づいて対象微生物を選択的に分取することを試みた。アナモックス細菌は細胞が数十から数百細胞集合した状態の強固なマイクロコロニーを形成する性質があるため、マイクロコロニーをターゲットに分取することを試みた。つまり。前方散乱光および側方散乱光のシグナル強度比に基づいてマイクロコロニーだけを選択的に分離することでアナモックス細菌だけを結果的に分離することができると着想した。そこで、嫌気性アンモニア酸化細菌の集積培養サンプルを超音波で分散させ、そのサンプルをセルソーターに供試し側方散乱光(SSC)と前方散乱光(FSC)を指標としたドットプロットから、嫌気性アンモニア酸化細菌のマイクロコロニーだと思われるエリアを複数(3-6箇所程度)選び出し、スライドグラスにソーティングした後、その後それぞれのエリアのサンプルをDAPIで観察・計数した。結果として、想定通りにアナモックス細菌だけを99%以上の割合で分離することに成功した。そこで、アナモックス細菌のマイクロコロニーを選択的に96well multi-well plateの各ウエルに1つまたは複数植菌し嫌気条件で培養を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アナモックス細菌を対象とした分離については想定通り順調に進んでいる。一方で、ポリリン酸蓄積細菌を対象としたサンプルについては、サンプル調整に手間取っており若干の遅れが生じているため達成度は上記のとおりとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の全体計画は以下の内容(項目)から構成されている、1)アナモックス細菌の集積培養、2)セルソーターなどを用いた物理的・選択的分離と培養、3)ポリリン酸蓄積細菌の集積培養、4)新規分離培養手法を用いた分離培養、である。そのうち項目1)、2)はH27年度で実施したため、今後は項目3)および4)を開始することを計画しているが、アナモックス細菌の分離についても同時並行的に引き続き検討を続ける。アナモックス細菌については、H27年度で確立した方法論をもとに培養回数重ねるとともに、新しい培養方法も試行する。
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Causes of Carryover |
今年度はアナモックス細菌のみにフォーカスして研究を進めた。当初の計画ではポリリン酸蓄積も同時に行う予定であったが、初年度はどちらか一方の検討に集中した方が効率的に研究が遂行できると判断したためである。その結果、リアクター部品や消耗品などの購入が少なくなったため、当該年度の支出が少なくなり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通りポリリン酸蓄積細菌の分離培養の試みなどをH28年度に行う。その実験経費を次年度に計上する予定である。
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