2015 Fiscal Year Research-status Report
酵素反応多段階化によるバイオ燃料電池の飛躍的高容量化
Project/Area Number |
15K14715
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
美川 務 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 専任研究員 (20321820)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオ燃料電池 / バイオ電池 / 酵素利用学 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオ燃料電池は、酵素を電極触媒に利用し、糖などを代謝する過程において発生するエネルギーを電気エネルギーとして電極に取り出す。そして特に近年、安全かつクリーンな電源として注目されはじめている。しかしながら、現状のバイオ燃料電池では、例えばグルコースをグルコース脱水素酵素でグルコン酸に酸化して2 電子を引き抜くだけで酸化反応は終了し、燃料の大部分を使用せずに捨ててしまう。本応募課題は、負極での酸化反応を多段階化し、バイオ燃料電池の実用化に対して大きな壁になっているその容量を飛躍的に向上させる技術の確立を目指すものである。 27年度はグルコースが酸化された際に生じるグルコン酸を酸化する酵素の獲得を中心に行った。最初にPelagibacterium halotolerans由来の酵素がグルコン酸を酸化することを確認したが、その酵素の可溶性に問題があったため、そのN末端領域を削除した変異体を作成した。本変異体は可溶性画分に単一標品として精製できたが、その酸化活性は低いことが明らかになった。そこで、グルコン酸も基質として認識するAcinetobacter calcoaceticus由来のグルコース脱水素酵素の変異体を使用することにし、本変異体と野生型を組み合わせることにより4電子を取り出すことに成功した。さらに、なぜこの変異体がグルコン酸を認識できるのかを調べるために、本変異体の結晶構造解析を行うこととした。現在までに、構造解析に必要な良質な結晶を得ることに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していた多段階経路とは異なる経路に変更したが、4電子を得ることには成功したことからおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
グルコン酸を認識できる変異酵素の構造から、そのメカニズムを明らかにし、それをもとにさらなる変異体のデザイン、調製もすすめていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果について権利化の可能性を検討するために発表を次年度に見送ったため、そのための経費を次年度に使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表費用として使用する予定である。
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