2015 Fiscal Year Research-status Report
骨形成関連細胞の増殖を強力に促進する微量海産ポリケチドの全合成と立体化学決定
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15K14718
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桑原 重文 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30170145)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体分子 / 生理活性 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
極最近発見された強力な骨形成関連細胞増殖促進物質(amphirionin-4及び5)の立体化学決定と全合成による量的供給を実現して,両物質を用いた治療法開発のための基礎・応用研究を活性化することを目的として研究を開始した。今年度は特に,amphirionin-4の全合成の達成を目指して研究を展開した。まず,分子左側のall-cisの置換様式を持つ三置換テトラヒドロフラン(THF)環部の構築を,1,4-hexadien-3-olに対するSharpless速度論的分割と高立体選択的ヨードエーテル化により僅か3工程で行った(96% ee,収率:3工程42%)。調製したTHF環部と分子中央部の分子間での連結は,all-cisの置換様式に起因する基質の立体障害のため困難を極めたが,dioxinone型中央部とTHF環部に存在する水酸基をエステル結合によりまず連結し,生じたヨードエステルの分子内アルキル化反応に切り替えることにより,高収率で実現することが出来た。スキップ型トリエン構造を含む不安定な分子右側部位はHorner-Wadsworth-Emmons反応,アセチレンカップリング及び位置選択的ヒドロスタニル化により調製し,THF環部/中央部連結体とStilleカップリングに付すことで,amphirionoin-4の全合成を達成した。本合成経路では4つのワンポット反応を組み込むことで,1,4-hexadien-3-olから僅か8ポットという効率的な全合成を実現した。研究成果はOrganic Letters誌に投稿し掲載が採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調製が容易ではないall-cis型三置換THF環,及び不安定で揮発性があるため扱いにくい分子右側のスキップ型トリエン構造を含むため困難が予想されたが,僅か1年でamphirionin-4の全合成を達成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続いて,もう一つの合成標的であるamphirionin-5の立体化学の決定を伴う全合成に挑む。昨年末にapmirionin-5の立体化学の決定に関する論文が他研究グループから出されたが,あと2つの不斉炭素原子の立体化学は依然として不明である。それらを決定するとともに,初の全合成を目指す。また,強力な骨形成関連細胞増殖促進作用を持つ天然物はamphirionin-4, 5以外にもいくつか報告されているため,それらの初の全合成もあわせて実施し,生物学者と連携して詳細な生物活性の評価を行いたい。
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Causes of Carryover |
1年目の研究計画では,amphirionin-4の全合成の達成のみを目指したため,予想よりも小額の経費で賄うことが出来た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年目の今年は,amphirionin-5の立体化学の決定と全合成,および関連する骨形成関連細胞の増殖促進作用を持つ天然物の合成を行う予定であり,当初の金額よりも多額の消耗品費が必要となる。次年度使用額は,増大すると予想される消耗品の購入に使用する。
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