2015 Fiscal Year Research-status Report
エクジステロイド生合成に関わる新規酵素に着目した昆虫発育制御剤スクリーニング戦略
Project/Area Number |
15K14719
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丹羽 隆介 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60507945)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 農薬 / 昆虫 / 酵素 / エクジステロイド / グルタチオン S-転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、ショウジョウバエ、ハマダラカ、そしてコナガにコードされたNoppera-boの酵素活性を阻害する薬剤を、大規模スクリーニングによって探索した。東京大学創薬機構から提供されたコア化合物ライブラリーに含まれる約 9,600 化合物のそれぞれと、大腸菌から調製したNoppera-bo組換えタンパク質および酵素活性検出用プローブ(3,4-DNADCF)を混和し、蛍光強度を測定した。第1次スクリーニングにおいては、化合物濃度 20 microM における酵素活性阻害率75%を目安として候補化合物の同定を目指した。その結果、ショウジョウバエ、ハマダラカ、そしてコナガの Noppera-boを阻害する候補化合物をそれぞれ 80種、16種、そして49種得ることに成功した。 ついで、第1次スクリーニングによって得られたこれらの化合物の効果を再検証するために、第2次スクリーニングを実施した。これにより、50%阻害濃度(Inhibitory Concentratin 50; IC50)が 5 microM 以下の阻害活性の強い化合物を絞り込んだ。この結果、ショウジョウバエ、ハマダラカ、およびコナガのいずれのNoppera-boに対しても 5microM 以下の IC50 を示す化合物を15種類同定することに成功した。この15種類の化合物のうち、グルタチオンS-転移酵素一般ではなく Noppera-bo に特異的に作用する阻害剤を絞り込む目的で、昆虫ステロイドホルモン生合成とは関連性のないヒト GST に対する阻害率も検討した。その結果、3種類の化合物が Noppera-boを阻害するがヒトGSTを阻害しない有力候補として絞り込まれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は有力化合物を絞り込む第2次スクリーニングまで着手することが当初目標であったが、おおむねその計画どおりに研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目においては、得られた15種類の化合物の化学的特性をさらに追究するために、表面プラズモン共鳴法やX線結晶構造解析などを用いた各化合物とNoppera-boとの相互作用様式の検討に進む予定である。また、これらの15種類の化合物が、実際の昆虫の発育(脱皮と変態の過程)に影響を及ぼすかどうかの検討を開始する予定である。一連の研究においては、Noppera-boに対する特異的な阻害効果が特に期待される3種類の化合物に特に注目する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 昆虫ステロイドホルモン生合成制御因子Noppera-boに対する阻害剤のハイスループットスクリーニング2015
Author(s)
Kana Morohashi, Asami Ogura, Yota Hirano, Sora Enya, Hirotatsu Kojima, Takayoshi Okabe, Tetsuo Nagano, Hideshi Inoue, Yuta Fujisawa, Ryusuke Niwa
Organizer
BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会)
Place of Presentation
神戸コンベンションセンター(神戸国際展示場・神戸国際会議場)、兵庫県神戸市
Year and Date
2015-12-01 – 2015-12-01
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