2015 Fiscal Year Research-status Report
クルクミンの細胞内移行・生理作用発現の分子機構解明
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15K14725
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲川 清隆 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80361145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 陽夫 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20157639)
木村 ふみ子 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50321980)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クルクミン / 細胞内移行 / 生理作用発現機構 / 食品機能 / LC-MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
ウコンに含まれるクルクミンは脂質代謝改善をはじめとする多彩な健康機能が知られる。しかし、生理作用発現機構は未だ不明である。最近、我々は、クルクミンが何らかの機構で選択的かつ積極的に細胞内に取り込まれ、生理機能を示すという手がかりを得た。そこで本研究(クルクミンの細胞内移行・生理作用発現の分子機構解明)では、クルクミンの細胞内取り込み機構の解明を目的に研究を進めている。本年度は「クルクミンの積極的な細胞への取り込み機構の証明:クルクミンと代謝物の比較」を進めた。具体的には、クルクミンやクルクミン代謝物を各種の細胞に種々の濃度で処理し、細胞抽出物をLC-MS/MSやHPLC-UV分析し、ヒト肝癌細胞HepG2やヒト白血球単球細胞THP-1などの細胞からは確かにクルクミンが専ら多く検出され、クルクミン代謝物は検出限界以下であることを確認し、想定されるメカニズムを提唱した。また、「クルクミンの積極的な細胞への取り込み機構の証明:クルクミンと天然類縁体および合成類縁体との比較」にも取り組んだ。こちらは、現在解析中であるが、クルクミンと構造の類似した化合物(類縁体)の取り込みをLC-MS/MS等で調べており、クルクミンは代謝物だけでなく類縁体とも明確に区別されて選択的に細胞に取り込まれると考えられる知見を得つつある。今後もこれらの研究を継続して行い、クルクミンを特異的に認識できるタンパク質(レセプター)の存在を想定して、種々の阻害剤を用いた細胞実験へと展開する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、「クルクミンの積極的な細胞への取り込み機構の証明:クルクミンと代謝物の比較」では、細胞からはクルクミンが専ら多く検出され、クルクミン代謝物は検出限界以下であることを確認し、想定されるメカニズムを提唱した。「クルクミンの積極的な細胞への取り込み機構の証明:クルクミンと天然類縁体および合成類縁体との比較」では、クルクミンは代謝物だけでなく類縁体とも明確に区別されて選択的に細胞に取り込まれるという知見を得つつある。このように当初の目的をおおよそ達成することができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、引き続き平成27年度の研究内容を継続して行い、クルクミンの積極的な細胞への取り込み機構を確証する。また、クルクミンを実際にラットなどの動物に経口投与し、クルクミンや代謝物を測定し、血液や組織細胞への移行量を明確にし、脂質代謝や炎症改善などの生理作用発現との関係性を評価することも計画している。これらの研究の後に、クルクミンを特異的に認識できるタンパク質(レセプター)の存在を想定して、種々の阻害剤を用いた細胞実験へと展開する。具体的には、ある種のポリフェノールや脂溶性ビタミンの細胞内移行に関わるとされるトランスポーター(カチオントランスポーター、アニオントランスポーター)の阻害剤(glibenclamide、probenecid、等)を細胞に処理し、その後にクルクミンを細胞に加え、阻害剤の影響を調べる。こうした本研究の成果は、クルクミンの作用の効果的な享受法の構築へと応用・展開でき、クルクミンの健康機能に関する新しい方法論の提供に繋がると期待される。
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Research Products
(2 results)