2015 Fiscal Year Research-status Report
精神的ストレスによる腸内細菌叢の変動はうつ様症状の原因となるか?
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15K14742
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 綾子 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任助教 (60610368)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胆汁酸 / コレスチラミン / 脳腸相関 / 行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳と腸は神経系や液性因子を介して機能的に相互に影響を及ぼすことが知られており、この相互作用は脳腸相関と呼ばれる。我々はこれまでに社会性の低下を示す社会的敗北ストレスモデルマウスにおいて、社会的敗北ストレスの負荷により盲腸内の胆汁酸濃度が上昇することを報告している。本申請課題では、腸内での胆汁酸の増加がうつ様行動の誘導に寄与しているという仮説をたて、胆汁酸吸着レジンであるコレスチラミンの投与がマウスの行動に与える影響を調べた。 C57BL/6Jマウス(雄性7週齢)にコレスチラミンを含むAIN-93G固形飼料を自由摂取させた。その後、オープンフィールドテストおよび高架式十字迷路により不安行動を評価し、social interaction testにより社会性を評価した。さらに、強制水泳テストおよびtail suspension testにより、うつ様行動を評価した。 コレスチラミンの投与は、マウスの不安行動に影響を与えなかったが、社会性を低下させる傾向を認めた。我々は、胆汁酸の主要成分であるコール酸の投与がマウス社会性行動を向上させることを明らかにしていることから、胆汁酸が脳腸相関を形成する一つの有力な因子である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、腸内細菌の移植実験を行う予定だったが、アイソレーターが購入できなかったため、次年度に予定していたコレスチラミンの投与試験を先に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
コレスチラミンの投与が行動に影響を与える可能性が示唆されたため、その機構の解明を目指した研究を実施する。また、アイソレーターを用いない腸内細菌の移植実験を検討する。
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