2017 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of intestinal microbiota on behavior in social defeat mouse
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15K14742
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 綾子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (60610368)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 精神的ストレス / 胆汁酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにうつ様行動を示す社会的敗北ストレスマウスにおいて、腸内細菌が変動すること、また、盲腸内において胆汁酸が増加することを明らかにしている。本研究は、社会的敗北ストレスマウスの腸内におけるこれらの変化が行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。本年度は、社会的敗北ストレスにより変動する腸内細菌がマウスの行動に及ぼす影響を調べるため、糞便移植試験を行った。 C57BL/6JマウスをICRマウスの居住スペースにいれることで10分間攻撃を受けさせた後、同じケージで、ICRマウスとしきりを挟んで隣り合わせて飼育した。これを10日間繰り返し、C57BL/6Jマウスに社会的敗北ストレスを負荷した。高架式十字迷路と社交性テストを実施し、社交性テストにおいて社会性行動が低下した個体をsusceptible、社会性行動が低下しなかった個体をresilienceとし、2群に別けた。社会的敗北ストレスを負荷しなかった対照マウスを含め3群のマウスから糞便を採取し、10%グリセロールに懸濁後、-80℃で保存した。移植先のマウスを準備するため、C57BL/6Jマウスに抗生物質水溶液を20日間自由飲水させ、腸内細菌を殺菌した。滅菌水に切り換えた後、マウスを3群に別け、対照、susceptible、resilienceの糞便懸濁液を3日間強制投与した。10日後、高架式十字迷路と社交性テストを実施した。その結果、高架式十字迷路に関しては各糞便移植群で差を認めなかったが、社会性行動に関しては有意ではないものの、resilienceの糞便投与群で社会性行動が高まる傾向が見られた。また、興味深いことにsusceptibleの糞便を移植したマウスでは社会性行動が大きく低下する個体が生じた。以上の結果から、社会的敗北ストレスにより変動する腸内細菌がマウスの行動に影響を与えている可能性が示唆された。
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