2016 Fiscal Year Research-status Report
情報技術を活用した天然林施業の知識ベース構築とその運用
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15K14751
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾張 敏章 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00292003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 大翼 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90313080)
當山 啓介 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (00613001)
中村 和彦 東京大学, 空間情報科学研究センター, 特任研究員 (70707075)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天然林施業 / 林分施業法 / 経験知 / 知識ベース / 林種区分 / 施業方針 / 選木 / 採材 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然林施業の知識ベース構築にかかる1) 知識抽出、2) 知識集積の研究調査を継続することに加えて、3) 知識分析(集積された知識ベースのデータ分析)に関する研究調査を実施した。 1) 天然林施業の知識抽出 ①天然林の林種区分:林種区分図のGISデータ化と標準地内での上層木樹高調査を継続実施した。技術者の行動分析に用いるウェアラブル・カメラを林内で試用し、適当な撮影条件を検討した。②施業方針の策定:現地検討会議事録のデータベース整備を継続実施した。③択伐対象木の選定:熟練技術者による天然生ミズナラ立木のウイスキー樽材適性評価について調査を行った。④収穫木の採材:材質劣化の原因となり得る木材腐朽菌類について、既往文献に基づいて網羅的に抽出し、菌種ごとの宿主樹種・加害部位・腐朽型を整理した。 2) 天然林施業の知識集積 知識ベース検索システム構築について、インタフェース部分との連動も含め、実際の利用場面に即した設計を行った。現地検討会での利用に関しては、全てのデータを統合的に表示するよりも、限られた情報をウェブブラウザ等で簡便に表示することを想定したシステム構築の方がより有用と考えられた。 3) 天然林施業の知識分析 ①天然林の林種区分:択伐林として林種区分される天然林は林冠構造の複雑性が高いことを定量的に示した。②施業方針の策定:現地検討会議事録の解析により、議論の解釈においては自明(共通認識)で議論が短く済んでしまう内容を別途把握・明示することの重要性が認められた。③択伐対象木の選定:ミズナラ樽材適性評価の結果から、熟練技術者は枝下高が高く、ねじれのないミズナラを樽材候補木として選定する傾向が認められた。④収穫木の採材:北海道における冬季の低温が、共振周波数に基づく腐朽判定の精度に影響を及ぼすことを明らかにし、経験的な打音に基づく腐朽判定に際しても留意すべきことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
林分施業法に基づく天然林施業において技術者の経験的知識が特に必要とされる4つの施業技術を対象に、当初の計画に従って1)知識抽出、2)知識集積、3)知識分析の研究調査をそれぞれ着実に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従い、天然林施業の知識ベース構築にかかる1)知識抽出、2)知識集積、3)知識分析の研究調査を継続することに加えて、4)知識利用に関する研究調査を実施する。知識ベースを体系的に整理した知識システムを構築し、現地において運用試験を実施する。
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Causes of Carryover |
2016年8月の大雨に伴う林道被害等の影響もあり、現地調査およびデータ入力・整理作業の一部を次年度に実施することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
天然林施業の知識抽出にかかる調査機器の購入と現地調査旅費、知識集積にかかるデータ入力・整理謝金、知識分析用ソフトウェアの購入、研究成果発表旅費等に研究費を使用する計画である。
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