2015 Fiscal Year Research-status Report
強度間伐によるヒノキの衰退・枯死メカニズム:風を主要因とする複合環境変化への応答
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15K14753
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
楢本 正明 静岡大学, 農学部, 准教授 (10507635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片畑 伸一郎 静岡大学, 農学部, 助教 (80648395)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 風・乾燥ストレス / 生理応答 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポットに植栽されたヒノキ苗木を対象として、風および乾燥ストレスに対する生理応答について測定を行った。風処理は送風機を用いて苗木に風を当て、乾燥処理では実験開始から灌水を停止した。処理区は十分な灌水を行い風処理を行わない対照区のほか、風処理区(十分な灌水)、乾燥処理区、風+乾燥処理区の4処理とした。測定項目は、水ポテンシャルのほか、最大光合成速度、気功コンダクタンス、最大量子収率とした。風処理区では、対照区と比較して水ポテンシャル、生理特性に変化は見られなかった。一方、乾燥処理区、および風+乾燥処理区では、実験開始から時間が経過するにつれて対照区よりも低い水ポテンシャル、光合成速度、最大量子収率を示した。また、風+乾燥処理区は乾燥処理区よりも早い時点から水ポテンシャル、光合成速度、最大量子収率の低下が確認され、乾燥処理に追加された風処理が水ポテンシャル、光合成速度、最大量子収率の低下を促進させた。同時に測定されたポット重量の変化からも追加的な風処理が水分の消失を増大させた傾向が観察され、風が地表面からの蒸発を含めた蒸発散を増大させたと考えられる。これにより乾燥処理区と比較して早期により乾燥した環境になったことが要因と考えられる。十分な土壌水分がある場合には、生理特性への風処理の影響は確認されなかったが、今後の研究で遺伝子発現およびキャビテーション発生れべるでの風処理の影響評価を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成木を対象とした環境変化に伴う生理応答測定が準備段階であるほか、遺伝子発現解析を次年度に繰り越したため。
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Strategy for Future Research Activity |
成木を対象とした環境変化に伴う生理応答測定を実施すると同時に、苗木実験を進める。また、遺伝子発現解析を行い、環境ストレスおよび生理応答との関係について整理する。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンサーによる塩基配列の取得については外部委託を計画しており、初年度はこの解析を延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度と合わせて、2年目には塩基配列の解析を進める予定である。
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