2015 Fiscal Year Annual Research Report
1塩基マイクロサテライトDNAの高精度分析法による葉緑体ゲノム変異研究の新展開
Project/Area Number |
15K14758
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白石 進 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70226314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 栄治 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90614256)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNA分子マーカー / 葉緑体ゲノム / 1塩基マイクロサテライト / ハプロタイピング / 裸子植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
裸子植物(有用林業樹種である針葉樹類が含まれている)では,葉緑体ゲノムは父親のみから遺伝(父性遺伝)するため,森林遺伝育種研究において葉緑体ゲノム変異の活用は必要不可欠となっている。しかし,葉緑体ゲノムは,核ゲノムに比べて変異性が極めて小さいため,多数の葉緑体マーカーを同時に利用し,情報量を増やすことが必須である。葉緑体ゲノムで変異性が高いのは,ほとんどが1塩基SSR(ホモポリマー)変異であるため,従来の分析法では,正確な分析が困難であった。そこで,1塩基の繰返し数を高精度で検出するための新たな分析系の開発を試みた。また,分析データからDNAタイピングを行う処理システムについても検討した。 まず,(1)PCRで葉緑体ゲノムにあるホモポリマーの近隣領域を全DNA(核,ミトコンドリアDNAを含む)から選択的に増幅した。(2)この二本鎖DNAを変性し,(3)ホモポリマー領域の直前(5’側)配列をもつプライマー(20塩基前後)とアニーリングさせ,部分的二本鎖を形成,(4)ホモポリマーと同じdNTPのみを加えてホモポリマー部分のみを伸長,(5)最後にホモポリマー領域直後(3’側)の1塩基と同じddNTPにより伸長を停止させる反応系の確立を試みた。dNTPとddNTPの添加濃度,dNTP-ddNTP比,使用DNAポリメラーゼ等について検討し,反応系の最適化を行った。今後,さらにHoPPE反応の最適化と簡便化を進めることにより,林木育種および森林遺伝研究の現場での1塩基SSRタイピング法として活用可能である。 また,1塩基SSRタイピングを自動化するためのデータ処理プログラムを作成した。なお,本プログラムには実用上(実際に使用する研究・技術者)の利便性を考慮し,Excel(マクロ機能(Excel VBA))を使用した。
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