2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14764
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
後藤 義明 国立研究開発法人 森林総合研究所, 気象環境研究領域, 領域長 (20353683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 覚 国立研究開発法人 森林総合研究所, 気象環境研究領域, 室長 (50353735)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 樹形 / 強風 / 衝突 / 風力 / 固有振動数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は樹形形成メカニズムの一つとして樹木の枝同士が強風を受けた時に接触、衝突することに注目し、樹形の形成における隣接木との距離や枝葉の衝突しやすさの影響を解明することが目的である。茨城県の村松海岸林において樹木動揺を観測するサイトを設定した。サイトは樹高がおよそ8mのクロマツ林であった。また、主風向の風上側に超音波風速計を取り付けて林帯に流入する風速変動を測定した。林内では3本×3本の互いに隣接した樹木の幹にひずみゲージを取り付けた。ひずみゲージをアルミ製の治具に取り付け、歪センサーとした。ひずみセンサーは東西方向と南北方向の2方に取り付け、樹木の動揺を2次元的に取得できるようにした。風速とひずみの測定は10Hzで行った。樹木の動揺によるひずみ量の変動をスペクトル解析して計算した固有振動数はいずれの個体も0.4Hz程度であり、動揺特性の個体間の違いは小さかった。 樹木の動揺はひずみ量の変化として測定され、それをモーメントに変換するため、引張試験を行った。引張試験ではセンサーが取り付けられている方向へ樹木を牽引し、その時のひずみとモーメントとの関係を導くものである。引張試験によりひずみとモーメントの関係は直線で示された。 また、個体ごとに作用する力、および力を集中荷重とみなした場合の力の中心を推定するため、多数枚のひずみゲージを使用した測定手法を考案し、その原理に基づいた観測を開始した。現時点では力の中心が不自然な高さに計算されることが多く、精度の面で改良が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は試験地の選定と観測機材の取り付けを行い観測を開始した。また、引張試験を行ったことからモーメントの推定も可能となった。連続データの蓄積が進んでおり、研究計画に沿った進捗となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
力の大きさおよびその中心は樹木に作用する力の特性および、樹木と風との関係を結びつけ、林帯の風に対する特性を表す重要なパラメータであり、測定方法の改善を行う。また、風と動揺の関係、個体間の動揺の関係の解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
風力の中心の測定を進めているが、機材の改良が必要であることがわかった。そのため、予定していた全個体(9個体)での測定を断念し、現在は1個体での試験的な測定にとどまっている。以上の理由により、旅費と物品費を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した予算により精度の改良を進め、全個体での測定を開始する。
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