2016 Fiscal Year Annual Research Report
Strength analysis of single cellulose nanofibers
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15K14765
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 継之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90533993)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キチン / ナノファイバー / 強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、キチンナノフィブリル(ChNF)の強度について解析を進めた。サンプルは、イカ、ハオリムシ、ハプト藻より精製した。孤立分散したイカChNFの平均長は、超音波キャビテーション処理が進むにつれて低下し、80分以降はほぼ変化がなかったため、400分間処理されたイカChNFは十分に破断され、限界破断長に達しているものとした。限界破断長に達する時間は、超音波の周波数や振幅、分散液の量等の試験条件にのみ依存するため、ハオリムシChNFとハプト藻ChNFについても、同様の条件で限界破断長を測定した。超音波フラグメンテーション法では、繊維状ナノ粒子の限界破断長と断面積から強度を算出する。本研究では、イカ、ハオリムシ、及びハプト藻由来のナノフィブリル断面を、それぞれ既報に基づいて正方形、平行四辺形、及び円形と近似した。TEM観察及びX線回折法により、各ChNFの幅を測定し、断面積を算出した。これらの結果を強度算出式に代入し、各ChNFの強度値を算出した。イカ及びハオリムシ由来のキチンは共にβ型の結晶構造を有するが、イカChNF(3.2 GPa)はハオリムシChNF(4.5 GPa)よりも低い強度を示した。これは、イカChNFの結晶性が比較的低いことに起因すると考えられる。また、α型の結晶構造を有するハプト藻ChNF(1.4 GPa)は、結晶性や密度が高いにも関わらず、その他2種のβ-ChNF(イカ及びハオリムシ)と比較して明瞭に低い強度を示した。これは、両者の結晶構造の違いに由来するものと考えられる。β-ChNFには分子鎖が平行にパッキングされているに対し、α-ChNFでは逆平行であり、フィブリルの長軸方向に欠陥構造が比較的多いのではないかと推察した。
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