2015 Fiscal Year Research-status Report
セルロースからの5-ヒドロキシメチルフルフラール新規調製法
Project/Area Number |
15K14768
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
粕谷 夏基 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90262229)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 5-ヒドロキシメチルフルフラール |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の計画には、既往文献を参考にしてセルロースの臭化リチウム(LiBr)水溶液への溶解性を確認しつつ、セルロースの加水分解によるグルコースの生成、グルコースからフルクトースへの異性化、フルクトースからの脱水反応などの各反応を促進させるため、酸・塩基などの触媒を様々に試す計画を記載している。 LiBr水溶液へのセルロース溶解については、可能な限り高濃度のセルロース溶液を扱うことができれば、効率的と考えられるが、今回の研究では6wt%まで溶解が可能であることが判明した。このセルロース濃度と60wt%の LiBr濃度を設定して、触媒や温度、時間等の条件を変えて更に反応を検討した。 固体酸に関しては、Amberlyst-15での加水分解反応において、加水分解が進まずに黒色沈殿が非常に多い結果となった。液体酸触媒には臭化水素酸(HBr)を取り上げ、その濃度が2wt%のとき、80℃で30分の熱処理でほぼ定量的にグルコースが得られることが判明した。このときのHMF収率は総じて極めて低い値を示した。 計画には明記しなかったが加水分解後の試料を中和したうえで、小林らが開発した、ZnCl2やZnCl2などのルイス酸とドデシル硫酸ナトリウムなど界面活性剤との組み合わせた触媒を(S. Kobayashi and K. Manabe, Acc. Chem. Res. 2002, 35, 209-217)、検討に加えたところ、Znを用いた触媒で変換率ca. 20%と比較的高い値を得た。 光触媒を助触媒として用いた、酸触媒による脱水反応の促進については、いくつかの条件で検討を行ったが、有意な効果が確認できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画の①に記載した通りセルロース濃度の上限を決めることができている。②に記載した、酸の種類についてはいくつか検討をしており、その中で小林らが報告しているルイス酸と界面活性剤の組み合わせによる触媒など、有効であることが見だされた。③光触媒についても計画に記載した評価を行ったが、こちらについては殆どHMFの生成を確認できなかった。 全体としては概ね申請時の計画に沿って進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ルイス酸・界面活性剤触媒について、その金属の種類(FeやSC、Ln等)を増やして、詳細な条件検討を行うとともに、申請時の計画に従って上記反応をジクロロメタンや1,2-ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエンなど、2相系に拡張し、収率向上につながるかどうか、さらに反応の検討を行っていく。本来、ルイス酸・界面活性剤触媒は生成した化合物を界面活性剤領域に取り込み、生成物の安定化が期待されるものであるが、2相系との違いについて検証することを予定している。
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