2015 Fiscal Year Research-status Report
リグニン結合性ペプチド配列を組込んだ人工酵素合成と酵素デリバリーシステムの構築
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15K14773
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 隆司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80201200)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リグニン / 白色腐朽菌 / ラッカーゼ / リグニン分解酵素 / バイオマス / 木材腐朽菌 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、単離リグニンを認識して結合するペプチドの配列をファージディスプレーを用いて発見し、一アミノ酸の変位実験により、見出したペプチドが、配列依存的にリグニンを認識することを証明した。本研究では、この配列をリグニン分解酵素に組み込むことによりリグニン分解の選択性が向上することを目的として研究を行った。平成27年度に、リグニン結合性ペプチド配列を担子菌のラッカーゼのN末端およびC末端に連結させた遺伝子を、Pichia pastoris の発現ベクターに組み込み、組換えラッカーゼを生産した。ラッカーゼは、FPLCを用いて電気泳動で単一バンドになるまで精製した。また、リグニン結合性ペプチド配列を組み込んでいないnative酵素も同様に異種発現し、精製した。これらの精製酵素を用いて、広葉樹ユーカリより単離したミルドウッドリグニン (MWL)の分解実験を実施した。現在、反応生成物をGPCやGCMSで分析しており、反応性の差を解析中である。平成28年度は、NMRを用いて、酵素反応によるリグニンの構造変化を詳細に解析する予定である。ラジカルは反応性が高く、寿命も短いため、この方法の有効性が実証できれば、リグニン分解の選択性や効率を高める様々な分野に応用できるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リグニン親和性ペプチド配列を担子菌のラッカーゼのN末端およびC末端に連結させた遺伝子を、Pichia pastoris の発現ベクターに組み込み、組換えラッカーゼを生産することに成功した。すでに、ラッカーゼは、FPLCを用いて電気泳動で単一バンドになるまで精製し、リグニン結合性ペプチド配列を組み込んでいないnative酵素との反応性の比較実験を行っており、研究計画どおりおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ペプチド配列をもつ酵素とnative酵素の反応特性の違いをさらに詳細に解析するとともに、NMRを用いて、酵素反応によるリグニンの構造変化を解析する予定である。
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