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2015 Fiscal Year Research-status Report

リグニン分解反応の網羅的解析技術の開発

Research Project

Project/Area Number 15K14779
Research InstitutionKazusa DNA Research Institute

Principal Investigator

佐藤 大  公益財団法人かずさDNA研究所, バイオ研究開発部, 特任研究員 (30454052)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywordsリグニン / 高分解能質量分析
Outline of Annual Research Achievements

リグニン分解物を高分解能質量分析計で分析するため、効率的なイオン化法を検討した。エレクトロスプレーイオン化法(ESI)と大気圧化学イオン化法(APCI)について、市販リグニンを用いて陽イオンモードと陰イオンモードそれぞれで検出性を比較した。比較の結果から、リグニン分解物の検出には陰イオンモードのAPCI法が検出性の点で適していることが確認された。一方、APCI法の分析データにはノイズピークが多く、構造が未知のリグニン分解物の検出のためには、分解物由来ピークの正確な抽出が必要となった。そこで新たにノイズ除去プログラムを作成した。本プログラムを適用することで、分析データからバックグラウンドノイズと分析時間全般に渡って特定の質量数がライン上に出現するライン上ノイズの効果的な除去が可能となった。
エリアンサスのアルカリ分解物について改めてノイズ除去プログラムを適用しデータ解析を実施した。分解時間0分から150分までの6群3Nのデータからは698の分解物のピークが検出され、そのうち98%についてMS2スペクトルの収集されていた。分解時間とピーク強度の変動パターンのコサイン類似度を指標としてこれらのピークをグループ化したところ、分解産物や分解中間体と考えられる挙動を示すグループを抽出することが可能であった。分解産物と考えられるグループには66種類のピークがグループ化された。分解産物の有効利用を考える上では、これらの成分の構造や生成量を考慮すればよく、このような変動解析の手法により大量の成分から効率的に絞り込みを行う有効性が示唆された。
以上のように、平成27年度の研究開発によりリグニン分解物の分析手法と解析手法は整備されたものと考えられる。これらの手法を基盤として、平成28年度は分解物の構造解析に着手する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成27年度の検討によって当初予定していたリグニン分解物の網羅解析のための基盤は整備された。分解実験を実施する植物については予定より種類が少なかったものの、エリアンサス、バガス、セスバニアについてのデータを得た。そのため研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
一方、予定していた学会発表や論文投稿による成果報告がなく、この点は平成28年度に積極的に進めていく必要があると考えている。

Strategy for Future Research Activity

今後は分析によって得られる組成式情報とMS2スペクトル情報からリグニン分解物の構造解析を検討する。組成式情報を利用した構造解析では、低分子リグニンの理論組成式のデータベースを構築し、データベースとの照合により分解物の構造を絞り込む手法を検討する。また、これまでの検討で、検出されたピークの組成式の差分を計算することで、分解中に脱離する構造を推定できる可能性が見えてきたため、組成式差分に着目した解析手法も検討する。MS2スペクトル情報を利用した構造解析では、当初の計画の通り、スペクトルの類似度を指標にしたクラスタリング手法を検討する。

Causes of Carryover

平成27年度は分析・解析手法の確立に注力したため、当初計画していた学会発表と論文投稿がなく、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額は平成28年度の学会発表に関わる旅費と実験消耗品として使用する。

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Published: 2017-01-06  

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