2016 Fiscal Year Research-status Report
OxyPAHの胚暴露により減少するアスコルビン酸と孵化仔魚の奇形誘発に関する探求
Project/Area Number |
15K14781
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宇野 誠一 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (50381140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 佐一郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (60437952)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アスコルビン酸 / 魚類胚 / oxyPAHs / 奇形誘発 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素化多環芳香族炭化水素類(OxyPAH)をヒメダカ胚に暴露したところ、孵化仔魚に様々なパターンの奇形が生じたのみならず、胚中アスコルビン酸(AsA)が大きく減少することが確認された。本研究では、OxyPAH暴露による胚の影響はAsAの減少が関与しているのではないかと仮説を立て、検証を行う。28年度はAsA減少及び全く含まない餌で飼育したヒメダカ親魚が産んだ胚の、長期AsA不足による産卵数、受精率、孵化率、発生、孵化仔魚の奇形誘発率などの影響を調べることを目的とした。 まず、AsA不足あるいは欠乏により、ほぼ影響を受けなかったのは卵の受精率だった。本結果からAsAは精子及び卵子の受精能力を左右するものではないと考えられた。また産卵後から孵化に至るまでの日数はAsAの量依存的な変化が観察されなかった。よって孵化までの時間のAsAの関与は小さいと考えられた。一方、AsA不足及び欠乏餌を給餌した親の産卵数を昨年度よりも長期間観察したが、給餌開始後12~14日目あたりから低下する傾向が見られ、1ヶ月を越えると産卵数が極度に減少した。よって、AsAは卵形成に欠かせないものであり、短期欠乏は影響が小さいが、長期欠乏はその影響が急速に増大すると思われた。12~14日目以降に得られた卵からの孵化率はAsA含有量の減少に伴い減少する傾向が見られたが、これはばらつきが大きく明瞭な因果関係までは分からなかった。孵化仔魚の奇形はAsAを全く含まない餌を与えた親から得られた胚から孵化した仔魚のうち40~50%に何らかの奇形誘発が観察された。さらに僅かにAsAを含む(30 mg/kg)餌を与えた親からの孵化仔魚は25日目に50%を越える奇形率が観察された。試験開始14日目あたりからAsA不足餌の胚は卵膜の異常が観察され、これはAsA不足によるコラーゲン形成の不全が原因によるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で、28年度はAsAが不足したときの胚の発生影響と孵化仔魚の奇形誘発の可能性を検証する予定であったが、これらに関する詳細な結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
AsAを全く含まない、あるいは不足する餌を給餌された親から生まれた得られた胚をoxyPAHに暴露し、胚中AsAの欠乏がoxyPAHの異境を増大するか否かを明らかにし、結果として強い抗酸化作用を示すAsAの防御作用の検証とAsAの胚での重要性を明らかにする。
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