2017 Fiscal Year Annual Research Report
Examination for relationship between decreasing of ascorbic acid by exposure of OxyPAH and inducing of malformation on fish larvae
Project/Area Number |
15K14781
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宇野 誠一 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (50381140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 佐一郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (60437952)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アスコルビン酸 / 魚胚 / OxyPAH / 奇形 / 酸化ストレス / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は酸素化多環芳香族炭化水素類(OxyPAH)のヒメダカ胚への暴露により、様々な形態の奇形稚魚が孵化するのを観察した。その胚中アスコルビン酸濃度(AsA)は対照区よりも大きく減少していた。AsAはコラーゲン形成に必須であり、酸化ストレスにも抗酸化物質としても働く、といった機能から、OxyPAH胚暴露時の稚魚の奇形誘発はAsAの減少が寄与しているのではないか、と考えた。この仮説を確認するために、以下の検証を行った。 1)AsA減少と孵化稚魚の奇形誘発との関連を検証するため、AsAを減らした餌料でヒメダカ親魚を飼育し、得た卵を孵化させてOxyPAH 暴露時の影響と類似した影響が出現するかを調べた。 2) AsA の化学物質暴露に対する防御作用を検証するために、1)の卵をOxyPAHに暴露し、AsA量が少ない胚から低い暴露濃度で奇形が誘発されるかを調べた。 1)では2ヶ月にわたり、市販の餌と同程度のAsA量の人工飼料(通常群)と、全く含まない飼料(不足群)により、それぞれを親魚を飼育して胚を得た。得られた胚の発生及び孵化稚魚に、両群間の明瞭な差は見出せなかった。よって、AsAが極度な減少があったとしても、孵化仔魚への影響は小さい可能性がある。しかし、欠乏群は給餌1ヶ月目以降、親魚が次々と死亡し、産卵数も減少する傾向が見られた。これはAsA欠乏による壊血病が哺乳類同様起こったと考えられた。 AsA欠乏胚にOxyPAHを暴露したところ、通常群よりも低濃度で死亡率と稚魚の奇形誘発率が上昇した。このことからOxyPAHに暴露されたことにより胚中酸化ストレスが増加に伴ってAsAが過剰消費されたが、OxyPAH暴露による全ての酸化ストレスに対応するためのAsA量が十分でなくなった。その結果、酸化ストレスから防御ができなくなり死亡や奇形がより低濃度のOxyPAH暴露でも誘発されたと考えられた。
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Research Products
(4 results)