2015 Fiscal Year Research-status Report
琵琶湖湖底ベント孔近傍に集群するミジンコと共生する微生物群集のメタゲノム解析
Project/Area Number |
15K14783
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
伴 修平 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50238234)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 道夫 立命館大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40234512)
細井 祥子 (田辺祥子) 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80423226)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 共生微生物 / Daphnia galeata / Eodiaptomus japonicus / Jesogammarus annandalei / 16D rDNA / 脱窒メタン酸化細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
琵琶湖北湖中央部定点において、水深30mからのプランクトンネット(口径30cm、目合い0.1mm)の鉛直曳きにて動物プランクトン試料を採取し、これよりEodiaptomus japonicusを10個体,Daphnia galeataを10個体そしてJesogammarus annandaleiを3個体ソートした。これらをホモジナイズした後、Takara Fast DNAキットを用いて全DNAを抽出して分析した。 E. japonicusおよびD. galeataからは150ng, J. annandaleiからは55ngのDNAを得ることができた。16D rDNA V4領域をターゲットとした真正細菌および古細菌特異的プライマーを用いてPCRを行い、おのおののライブラリーを作成した。Miseqによりライブラリーの塩基配列を決定し,FLASH(ver1.2.10)を用いてペアエンド結合を行った後,Qiime(ve.1.9.0)により群集構造解析を行った。 その結果、古細菌の配列は全く見られず、構築したライブラリーにメタン生成菌の存在を確認することはできなかった。一方、真正細菌特異的プライマーによるライブラリーからは、すべてのサンプルから大量のゲノム配列を得ることができた。これらの配列には、Kojima et al. (2914)によって酸素濃度の低い亜熱帯湖沼深層における優占菌であることが確認された脱窒メタン酸化細菌の配列が含まれていた。これまでに本菌は溶存酸素が枯渇し、メタンが供給されると考えられる水深90m付近での優占が明らかとなっている。また、E. japonicusとD. galeataからの細菌群集構造は、J. annandaleiからのそれより類似していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進んでいる。採集した動物プランクトンの体表面の滅菌および、それらから腸管のみを分離することも可能となった。しかし、結果から一般細菌のコンタミネーションを特定する方法はまだ確立されていない。また、湖底直上のミジンコ群集を採集するに至っておらず、今年度の課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、まず結果に混在する一般細菌を動物プランクトンとの共生細菌から分離する方法の確立を目指す。これによって、琵琶湖に生息する動物プランクトンに共生する細菌組成を明らかにすることができる。 また、今回解析を行ったすべての生物試料は表層から採取したものであった。今年度は、湖底直上から動物プランクトンサンプルを採取し、これらの共生細菌叢を明らかにする予定である。これらが達成されることによって、琵琶湖における動物プランクトンの共生細菌叢を明らかにすることができ、メタンの生成や酸化に関与する微生物群集が動物プランクトンとの共生関係にあるのか確かめることができ、メタンを出発点とする食物網の可能性を探る一助となるものと期待される。
|
Causes of Carryover |
悪天候などにより、当初予定していたより調査回数が少なかったため、それにかかる調査補助、試薬、サンプル処理費用が少なく済んだため、この余剰分を次年度へ繰り越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、前年度より頻度高くサンプルを採取するため、それにかかる調査補助、試薬、ゲノム解析費用が発生する。昨年度繰越金はこれらに充当されることとなる。
|