2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14789
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
田口 尚弘 高知大学, 総合科学系黒潮圏科学部門, 准教授 (80127943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 賢 高知大学, 総合科学系黒潮圏科学部門, 准教授 (00314980)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 造礁サンゴ / 培養細胞 / 分裂促進 / 藻類成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,造礁サンゴから成体ポリプ細胞および受精後24時間前後の胚、プラヌラより安定的に初代培養細胞を得る条件の検討を試みた。成体細胞については,ハナヤサイサンゴの枝を切断し,スライドグラスに固定して飼育した際に切断面付近からスライドグラス上に増殖する細胞を対象とした。スライドグラス上に増殖伸長した細胞を物理的に剥離し,抗生物質添加した滅菌海水で数回洗浄した後,細胞培養用フラスコに入れて滅菌海水で培養した。塩の析出が認められることから,一般的な培地成分や血清は加えず,滅菌海水を用いた。1週間に1回程度半分量の海水を交換することにより,1ヶ月以上の細胞の維持が可能であった。胚・プラヌラについては,受精後約1日~3日後のエンタクミドリイシを用いた。抗生物質添加した滅菌海水中で物理的に破砕した後,体細胞同様の手順で培養を試みたところ,こちらも1ヶ月以上の維持が可能であった。体細胞は大きさが比較的揃ったものの1つの枝から得られる細胞数が少なめであったのに対し,胚の場合は多くの細胞が得られるが,細胞の大きさは極めて多様であった。 ヒトBリンパ細胞の増殖促進作用を示すレクチン(phytohemeagglutininやpokeweed mitogen)に加え,海藻由来成分としてフコイダン,スピルリナ抽出液やアルギン酸を1~100 ug/mLの濃度で添加したが,未添加と比較して顕著な増殖促進は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高知県沿岸で比較的安定的に採取できるハナヤサイサンゴやエンタクミドリイシより,体細胞や胚から最低1ヶ月程度は維持できる細胞を分離できたことから,初年度については概ね順調に進行していると考えている。細胞増殖が期待される成分の添加により,顕著な増殖促進が観察できていないが,生体試料からの細胞分離のタイミング,培養密度,添加濃度、培養液などの検討により適切な条件を見出せるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度と同様の条件で,安定的に培養細胞の分離・維持が可能かを検討した上で,細胞の生存活性の測定法を検討する。また,ヒト細胞の増殖促進効果を持つ物質や海藻抽出液等について,添加のタイミングや添加濃度について適正な条件について調べる。
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Causes of Carryover |
細胞培養条件の検討において,培地成分や血清などの使用を予定していたが,予備実験により塩の析出が明らかとなったことから,これらの試薬を購入しなかったことから次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞の生死判定が困難であることから,造礁サンゴ細胞に適した判定条件を見出す必要がある。次年度以降にいくつかの該当製品を購入して検討する予定にしている。
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