2015 Fiscal Year Research-status Report
海綿動物と微生物の共生関係解明に向けたモデル宿主の確立
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15K14800
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 健太郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (90455353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊勢 優史 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20535108)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海綿動物 / 共生微生物 / 海洋天然物 |
Outline of Annual Research Achievements |
最も原始的な多細胞動物である海綿動物は、極めて単純な体構造を持つにも関わらず、6億年以上もの間、その体構造を大きく変えることなく進化してきた。この背景には、微生物との共生があると考えられる。実際に海綿動物には1000属以上の微生物が共生し、巨大な微生物共同体を構築しているが、微生物の共生経路の詳細は明らかになっていない。また、海綿動物の共生微生物の中には、様々な生物活性を示す二次代謝産物を生産する種が含まれていることが知られており、化合物を有効活用する上で、微生物の共生機構を理解することは重要である。このような背景のもと、我々は、海綿動物-微生物の共生関係を包括的に明らかにするため、海綿動物におけるモデル生物を確立することを目指し、研究をおこなっている。 本年度は、まず屋外水槽で飼育した海綿の生活環の各ステージにおける代謝物、および、微生物叢の変遷を解析した。また、特定の時期に得られた海綿動物の幼生をシャーレに定着させることに成功し、その定着の様子を観察した。その後、幼生の飼育を試みたが、閉鎖的な飼育環境では成長が著しく遅く、生存率が低いことが明らかとなった。継続的に海水を供給する開放系の環境では、十分に個体が成長できることから、次年度はシャーレに定着させた海綿を、開放系の飼育環境、および野外で飼育し、生活環の各ステージにおける代謝物、および、微生物叢の変遷を検討する。これらの情報を基に、閉鎖的環境で飼育するための因子を探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年に1度しか実験することができないため、実験結果次第で、ある程度の進捗の遅れは想定していた。本年度得られた結果を踏まえて、次年度の研究計画を変更する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、幼生をシャーレに定着させ飼育する技術を確立することができた。次年度はさらに飼育条件を野外の条件に近づけて、飼育環境が海綿の生育、代謝物、共生微生物にどのような変化を与えるのかを解析する。
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Causes of Carryover |
申請研究実施のため、おおむね計画通り研究費を使用できている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も計画通り、研究費を使用する。
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