2015 Fiscal Year Research-status Report
海産魚類のプロバイオティクス養殖に求められる理想的な腸内細菌叢の検討
Project/Area Number |
15K14808
|
Research Institution | Japan Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
安藤 忠 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (20373467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 篤志 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, その他 (30443352)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | プロバイオティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
3カ月齢のマダイの稚魚(約200個体)から無作為に50個体取り出し、2台の40Lの円形水槽水槽(実験群と対照群)に25個体ずつ収容し、かけ流し式で28日間飼育した。実験期間中の水温は25.0~26.0℃、照明については、自然光に加えてLED(6000ケルビン、10W)を8:00~ 22:00に点灯させ、長日条件とした。対照群の飼料は日清丸紅社製おとひめ(EP1)とし、毎日9:00~10:00の間に飽食量給餌した。実験群の飼料には抗生物質混合物(テトラサイクリン塩酸塩、カナマイシン、ストレプトマイシン)を添加した。各抗生物質の添加量は、前半の16日間では飼料1㎏あたりそれぞれ333mg、100mg、150mg、後半の11日間では666mg、200mg、300mgとした。その結果、実験群の各抗生物質の投与量は、飼育実験の最終日においては、体重1㎏あたり28.3mg、8.5mg、12.7mgとなった。実験終了時の体重は、対照群と実験群がそれぞれ25.7±6.3gと23.0±6.6g、内臓除去重量は23.5±5.7gおよび21.2±6.1g(平均±標準偏差)で、どちらにも有意差は認められなかった。生残率は76%と64%だった。総給餌量は、119.0g、148.7gだった。以上の結果は、抗生物質を飼料に添加しても成長は促進されないことを示唆している。総給餌量は実験群が多いことから、摂餌量が抗生物質の添加で抑制されていることは考えにくい。したがって、今年度の実験から、成長を促進するには添加抗生物質が不足している、選択した抗生物質が不適当だった、あるいは、マダイでは腸内細菌が消化吸収に影響を与えていないなどの可能性が考えられる。無菌マウスや抗生物質が投与されたニワトリでは腸内細菌の増殖が強く抑制され、消化管内での細菌侵襲がほとんどないため、成長が著しく促進されることが知られている。本研究の結果はこれらと異なる。次年度に、抗生物質の投与量と種類を検討したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マダイに抗生物質を投与し、成長が促進されることを予想したが、効果が認められなかった。生残率や飼料の利用性にも特に抗生物質投与の優位性が認められなかった。これらのことは本課題立案時の予想と異なる。投与する抗生物質の濃度を上昇させるか異なる抗生物質を使用する必要がある。計画を立て直し、実験に使用するマダイを準備する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
カナマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリンを組みあわせて飼料に添加しても、成長促進効果が認められなかったことから、効果や作用がこれらの抗生物質と異なるものを使用する必要がある。バンコマイシンが現在のところ、次に使用する抗生物質の候補である。
|
Causes of Carryover |
消耗品の納品価格が発注時の価格よりも安価だったために予想以上に節約できたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度繰り越しとして消耗品の購入に使用する予定。
|