2015 Fiscal Year Research-status Report
途上国農漁村の衛生管理における隠匿行動の経済疫学研究
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15K14814
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
耕野 拓一 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20281876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桟敷 孝浩 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, その他 (10453250)
宮崎 さと子 (窪田さと子) 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (90571117)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ベトナム / エビ養殖 / 抗生物質 / 隠匿行動 / 経済疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベトナムは現在日本で最大のエビ輸出国であるが、ベトナム産エビからは基準値を超えた抗生物質が検出されるケースが後を絶たない。 この研究では、日本にもエビを輸出しているベトナム中部のフエ省を調査地に設定し、初年度はフエ大学の協力を得ながら、フエ市周辺のエビ養殖の実態について関係機関から聞き取りを行った。その結果、エビ輸出業者と契約養殖を行う大規模養殖業者では、エビ出荷の1週間前には抗生物質は使わないなどの契約のもとで、エビを出荷していることがわかった。 抗生物質の検査はフエ省の品質管理局でサンプル検査を行っているが、2015年のサンプル数は、フエ省に約12,000戸あるエビ養殖業者のうち、わずか3戸のみであった。ベトナムでは、エビ養殖業者の多くは小規模養殖業者で、ここから養殖されたエビが輸出業者にも出荷されている実態が明らかとなった。 小規模養殖農家30戸に対して、基本情報収集のため調査表を使った実態調査を行った。ホワイトスポットなどの疾病が発生しており、こうした被害拡大防止のため、調査地域のほとんどのエビ業者はバナメイを養殖していなかった。また、フエ省では家畜衛生局がエビの疾病管理のための講習会を開催しているが、こうした講習会に参加する業者ほど過去1年間のエビの疾病回数が少ない傾向にあることも明らかとなった。 しかし、多くを占める小規模エビ養殖農家がどの程度抗生物質の利用基準を理解し、その利用を行っているのか、特にエビの飼料中に含まれる抗生物質にも注意を払い分析を進める必要性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナム・フエ省のエビ養殖を本研究の調査地として設定した。現地関係機関も非常に協力的であり、基本情報収集のため30戸の予備調査も予定通り行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナムのエビ輸出協会がハノイにあるとの情報が得られた。次年度はこの協会を訪問し、ベトナムにおけるエビ養殖の品質管理基準などの情報を収集する。 ベトナムのエビ養殖において何が「隠匿行動」になるのか、この点は今年度の調査から明らかにできなかった。今年度の研究成果と、フエ省における再度の実態調査を行い、この点について明確化し、本調査に向けた質問表を完成させる。
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Causes of Carryover |
年度内にハノイにあるエビ輸出協会を訪問する予定であったが、先方との日程調整ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にエビ輸出協会を訪問する際の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)