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2016 Fiscal Year Research-status Report

途上国農漁村の衛生管理における隠匿行動の経済疫学研究

Research Project

Project/Area Number 15K14814
Research InstitutionObihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine

Principal Investigator

耕野 拓一  帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20281876)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 桟敷 孝浩  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, グループ長 (10453250)
宮崎 さと子 (窪田さと子)  帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (90571117)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords隠匿行動 / 不知行動 / 抗生物質 / エージェンシー理論 / 衛生管理
Outline of Annual Research Achievements

昨年度に調査を行ったフエ省における小規模エビ養殖業者実態調査(30戸)データについて詳細な分析を進め,次の点が明らかとなった。第一に,ある程度成長したエビが疾病に感染した場合,健康なエビよりも低い価格ではあるが,仲介業者に販売されるケースもあり,これは調査したエビ養殖農家の総収穫量の約16.5%にも達していた。第二に,こうした疾病は,フエ省家畜衛生局が開催する技術講習会に参加する農家ほど発生頻度が低下する傾向などが確認された。これら結果については,論文としてまとめ,学会誌に投稿し受理された。
大規模エビ養殖加工業者にも聞き取り調査を行ったが,基本的には小規模エビ養殖業者と契約養殖を行っており,ここでは,エビ出荷の一週間前は抗生物質を利用しないなど,適切な衛生管理が行われていた。しかし,大規模エビ加工業者と契約養殖を行っていない小規模エビ養殖業者から仲介業者がエビを集め,大規模エビ加工業者にエビを流通させるケースがあり,この流通ルートで,品質が担保されていないエビが混入し,日本などへの輸出向けに供給されている可能性が明らかになってきた。
本研究のキーワードの一つは隠匿行動であるが,疾病に感染したエビでも仲介業者などに販売するエビ養殖業者は存在することが調査から明らかになってきた。こうした隠匿行動がエビの疾病を拡散させ,それを予防する目的で多くの抗生物質が使われる,負の連鎖が示唆された。今後の実態調査においては,こうした隠匿行動に加えて,小規模エビ養殖業者に農薬などを販売する医薬品販売業者の行動(抗生物質などの使用基準などを理解している)と,抗生物質などの使用方法・基準を理解せず,医薬品販売業者の言われるまま,農薬などを使うエビ養殖業者の行動に考慮した分析が必要となることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

フエ省で小規模エビ養殖業者の実態調査を行い,また関係機関においてエビの衛生管理に関する聞き取り調査を進めた。これら分析結果を取りまとめた成果は学会誌に投稿し受理されるなど,一定の成果を残せたと思われる。

Strategy for Future Research Activity

本研究の重要なキーワードは隠匿行動であるが,隠匿行動を行っているのは,エビの疾病を承知の上でエビの買い取りを行う仲介業者である可能性が明らかになりつつある。また,小規模エビ養殖業者は医薬品販売業者に勧められるまま,抗生物質を購入・利用し,特に悪意もないままに,疾病に感染したエビを仲介業者に販売している実態が明らかになってきた。本研究ではこれを「不知行動」と定義し,隠匿行動と不知行動を区分し,調査表の作成を進める。
2017年の8月までには,これらの点を踏まえた調査表を作成し,8月には100戸程度の小規模エビ養殖業者を対象にした実態調査を行う予定である。さらに,ハノイのベトナム水産物生産輸出組合(VASEP)と農業農村開発省農林水産品質管理局(NAFIQAD)などで,ベトナムのエビ養殖における品質管理の課題について,聞き取り調査を行う。
以上より,ベトナムのエビ養殖における動物医薬品利用の状況をプリンシパル・エージェント理論の視点から整理する。また,システムダイナミックスの分析に必要となるパラメータの設定を実態調査の分析から行い,隠匿行動・不知行動が要因となり拡散するエビの疾病拡大について,シミュレーションを行い,必要とされる対策と効果について費用・便益の観点から分析し,政策提言を行う。

Causes of Carryover

ベトナムのエビ養殖の実態把握を行うため,関係機関からの聞き取り調査に重点を置き,衛生・検査制度の取りまとめを優先的に行ったため。当初,計画されていた小規模エビ養殖業者を対象にしたフィールド調査(調査戸数100戸程度)は次年度に行う。

Expenditure Plan for Carryover Budget

2017年8月から9月にかけて,フエ省の小規模エビ養殖業者を対象にしたフィールド調査を行う。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] フエ大学(ベトナム)

    • Country Name
      VIET NAM
    • Counterpart Institution
      フエ大学
  • [Journal Article] ベトナムにおける小規模エビ養殖の衛生管理と課題2017

    • Author(s)
      村田佳寿恵・耕野拓一・桟敷孝浩・Nguyen T.M. Hoa
    • Journal Title

      開発学研究

      Volume: 受理印刷中 Pages: 受理印刷中

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant

URL: 

Published: 2018-01-16  

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