2015 Fiscal Year Research-status Report
農山村地域の空洞化回避を主目的に据えた鳥獣害の動向予測と実効的管理体制の提言
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15K14816
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
鈴木 正嗣 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90216440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊吾田 宏正 酪農学園大学, 農学生命科学部, 准教授 (60515857)
江成 広斗 山形大学, 農学部, 准教授 (90584128)
角田 裕志 埼玉県環境科学国際センター, 自然環境担当, 研究員・ポスドク担当 (50601481)
八代田 千鶴 国立研究開発法人 森林総合研究所, 関西支所・生物多様性研究グループ, 主任研究員 (20467210)
横山 真弓 兵庫県立大学, 付置研究所, 教授 (50344388)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 農村社会 / 鳥獣 / イノシシ / シカ / 森林 / 過疎 / 捕獲 / 餌付け |
Outline of Annual Research Achievements |
・人口減少が著しい東北多雪帯における鳥獣管理施策の課題整理を目的に,村山・庄内地域において,行政担当者と猟友会へのヒアリングと現地視察を行った。その結果,農村の空洞化に伴い農村集落の中長期的ビジョンが不透明化することで,住民間で合意できる鳥獣管理の目標が立てられないことが多くの集落の共通課題として確認された。 ・野生動物管理の担い手育成の方策を検討するために,岐阜県の狩猟免許取得者を対象としたアンケート調査の回答結果を解析した。狩猟免許受験者は狩猟に対して消極的態度を示す者と積極的態度を示す者に二分され,それぞれの捕獲の担い手として期待できる役割が異なることが示唆された。 ・大規模畑作畜産地帯における担い手育成モデル地区として北海道西興部村猟区でのヒアリング調査を行い,猟区制度が空洞化農山村の鳥獣管理体制および人材育成の基盤として有効となりうるか検討した。捕獲スキルの認証制度が普及し,改正鳥獣法ともリンクすることで地域主体管理を実現させれば猟区制度が有効になると考えられた。 ・中山間地域における農村集落の社会的状況,周辺の野生動物による被害発生状況を把握し,周辺の土地利用状況,野生動物の生息密度および捕獲実施状況等との関連を検証するために,徳島県を対象に,森林の利用状況(植生,伐採地面積,植栽の有無),被害発生状況,被害対策,野生動物の推定生息密度および捕獲数等のデータ収集を行った。 ・市街地等に出没する野生鳥獣の管理のモデルに,神戸市の市街地を徘徊する14頭の餌付けイノシシの行政的捕獲事業に対する地域住民への事前説明会とアンケート調査を行い,市街地における捕獲活動の混乱を回避させるためのプロセスを構築した。また,有害捕獲活動が適正化されていない地域では,地域住民による捕獲隊の結成を支援し,被害住民が狩猟者と連携して捕獲作業に当たるモデルを2地域で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に挙げた農山村の類型区分(大規模畑作畜産地域,多雪地域,耕作・再造林放棄地が目立つ地域,市街地に隣接する地域など)ごとに適切なフィールドを確定させ,予定どおりヒアリング調査やアンケート調査,被害発生状況調査,生息状況調査などを実施できている。また,これらの調査を通じ,地域住民との信頼関係にもとづく「情報収集や普及啓発活動のためのネットワーク構築」も達成された。 加えて,すでに論文2,著書2,学会発表8などの研究業績も達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までのフィールドワークを継続・充実させるとともに,海外における情報収集を実施する。また,農村計画学などの関連研究分野の研究者のとの共同研究体制を構築し,研究体制や予算規模を拡大した次なる研究課題の準備を開始する。 「野生生物と社会」学会を中心とする学会活動の場においては,テーマセッションやシンポジウム等を企画し,情報共有ネットワークの拡大を図る。
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Causes of Carryover |
・関連分野の研究者を招聘しての勉強会を行う予定であったが,日程的な都合がつかなかった。 ・先方との日程的な都合がつかなかったため,予定していたヒアリング調査をキャンセルした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
キャンセルした勉強会ならびにヒアリング調査等を実施する。
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