2015 Fiscal Year Research-status Report
災害被災地における集落点検手法の応用を通じた相互多重型支援に関する実践研究
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15K14817
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
辰己 佳寿子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80379924)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 集落点検 / 相互多重型支援 / 地域社会 / 生活改善 / 振り返り |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、初年度であるため、研究協力者や調査対象地域の行政職員や実践者との調査チーム体制の確立を行う同時に、村落社会に関する研究、生活改善に関する研究、阪神淡路大震災や東日本大震災等の過去の被災に関する研究等の文献研究を行った。 2013年7月の山口・島根豪雨災害の被災地(山口県)の調査の成果として「豪雨災害の復旧・復興に向けた普及活動と地域の取組-山口県北部・豪雨災害(平成25年7月28日)からの報告」という題目で論文を公表した。長門市地域防災活動支援員養成講座においては「国境をこえた相互多重型支援から考える防災・災害復興」という研究発表を行い、長門市職員やNPO職員、自治会会長等との情報交換を行った。 山口県の中山間地域の集落においては、試行的に手法普及チームを結成し、従来型の「集落点検の(課題認識→行動計画→夢プラン)」を踏まえて、夢プランの実現度を評価するワークショップを行った。夢プランは、ほぼ実現できているが、実現できていない夢プランが少し残っていた。その主な原因として人材不足があがったため、身近な人的資源の発見や新規定住者の人物像の明確化が論点になった。このことについて議論を深めていく必要があるため、今後も継続的にワークショップを行う予定である。 2011年3月の東日本大震災の被災地(宮城県)には、山口県の集落点検経験者と共に訪問し、集落点検という手法によって山口県内の集落がどのように変化してきたのかを説明し、ワークショップ的なかたちで意見交換を行った。特に、本年度は、この集落に残された区有文書の翻訳作業に力を入れたため、一巻分(約100ページ)の作業がほぼ終わりつつあり、翻訳冊子の作成に取り掛かる準備ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者等のチーム体制の充実や調査対象地域の方々の協力により、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、東日本大震災の被災地である宮城県や豪雨災害地の山口県に焦点を当てているが、国内外で災害が起こっているため、これらの経験も参考にしながら、本研究の二つの地域の比較研究の視野を磨いていきたいと考えている。
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