2016 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental analysis of freezing / sublimation characteristics of atomized liquid in vacuumed low temperature field
Project/Area Number |
15K14825
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北村 豊 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20246672)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 真空噴霧乾燥 / ガラス転移温度 / 水分活性 / アスコルビン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
農産物や食品に含まれる健康機能成分と呼ばれるものには、乾燥操作における加熱により失活・分解・消失するビタミンやアミノ酸、プロバイオティクスなどの存在が知られている。これら熱感受性の高い成分を十分保持しながらこれらの食材の乾燥を行うには、材料を著しく昇温させない操作の確立が有効である。本研究で着目する噴霧乾燥は、液体食品を貯蔵安定性の高い製品に形質転換するために広く使用されてきた技術である。ここでは噴霧乾燥チャンバ内に真空低温場(5 kPa、50℃)を作出し、マルトデキストリンを賦形剤に使用してミカン果汁を粉末化する新しい技術を確立した。本法によれば、湿式粉砕を経て得られる線維性パルプを含んだミカン果汁の粉末化も可能であることが示された。また在来の温度域で乾燥された粉末と比較して、より高濃度のアスコルビン酸を保持できた。得られた粉末の保存性を検討した結果、固形物濃度や貯蔵温度が高くなるにつれその色や抗酸化性が低減したが、それらの影響は通常法による粉末と比較して小さかった。また保蔵試験により、任意の温度での粉末の収縮や粘着を防ぐためには、相対湿度53%以下で保存する必要があることが判明した。これらにより、ミカン果汁とマルトデキストリンの固形物比50:50、40:60、30:70の組み合わせで真空低温場において行われる噴霧乾燥は、高品質な粉末製造に応用できると結論された。また現有のスターリングクーラーを組み込んだ冷却システムを利用して、噴霧ガスの低温化を図ったところ、噴射ノズルから噴射された気体は真空ポンプにより十分に減圧され真空断熱状態に保たれた冷却塔に導かれると、-80℃まで冷やすことができた。今後は冷凍噴霧ガスの噴霧乾燥ノズルへの導入法の確立、カロテノイド含有の加工や貯蔵中の生化学的変化の研究、また産業化にあたってのコスト分析が課題である。
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Research Products
(3 results)