2015 Fiscal Year Research-status Report
農業環境・情報工学と眼科学を融合した農作業に係る紫外線のエビデンス把握手法の開発
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15K14827
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長谷川 英夫 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80292514)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 農作業 / 健康 / 紫外線 / エビデンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は農作業に係る紫外線のエビデンス把握手法を確立し, 農業環境・情報工学と眼科学を融合した新たな紫外線対策装具の開発を目的としている。本年度は紫外線被曝量の定量化システムの研究開発と調査地域の眼科検診を実施する予定であった。紫外線被曝量の定量化システムに関してはシステム開発に必要な情報収集, 特に 1) センサの適切な精度, 2) 取得したデータの評価方法, の2点を重点的に既往の研究をもとに調査した。1) に関しては、計画策定当初使用を予定していた試作ボードコンピュータを利用したセンサは, 分光感度が人の被曝量の測定に適さない点と, 人体への装着の難しさから, 人への曝露の計測には適さないと結論付けた。そのため, 分光感度が人体の紅斑効果量に近い挙動を示すポリソルファンフィルム等を利用した, ウェアラブルなセンサを新たに開発する必要性が生じたが, 新たな機器の開発には時間を要するため, 28年度からの調査には既存のセンサを購入し利用する。2) に関してはセンサにより取得された紫外線データを用いて農作業者の健康リスクを評価するための基準を調査した。ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists)とICNIRP (International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)がほぼ同様のレーザー放射以外の紫外放射の急性障害に関する限界許容値を定めているため, これを基準として実測値と比較することにより, 農作業者のリスクを評価することが可能であると判明した。計画していた眼科検診は, 協力を依頼していた医学部の研究倫理基準を満たすことに手間取っているため, 27年度の実施は見送った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
眼科検診については,研究倫理基準を満たすことに時間を要するために 27年度の実施を見送った。
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Strategy for Future Research Activity |
農作業者の人体への太陽紫外線被曝量を直接計測した研究事例は海外から数件報告されているが, 我が国からは報告されていない。そこで28年度は日本の環境下での農作業中の紫外線被曝量を把握するために, 大規模農業生産組合を対象とし, ウェアラブルなセンサを農繁期の農作業者に装着して紫外線被曝量をモニタリングする。この計測値を既出の限界許容量と比較することにより紫外線リスクの大きさを定量的に提示し, 年間の被曝量の変動を追跡して, 重点的に防護が必要になる時期や作業工程を特定し, 適切な対応策を考えるためのエビデンスを得ることが目的である。
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Causes of Carryover |
計画していた眼科検診に係る研究倫理基準を満たすことに時間を要することから, 27年度の実施を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は日本の環境下での農作業中の紫外線被曝量を把握するために, 大規模農業生産組合を対象とし, ウェアラブルなセンサを農繁期の農作業者に装着して紫外線被曝量をモニタリングする。この計測値を既出の限界許容量と比較することにより紫外線リスクの大きさを定量的に提示し, 年間の被曝量の変動を追跡して, 重点的に防護が必要になる時期や作業工程を特定し, 適切な対応策を考えるためのエビデンスを得ることが目的である。
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Research Products
(1 results)