2016 Fiscal Year Research-status Report
生体および食品を対象とする乾燥プロセスの非破壊オンライン測定システムの開発
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15K14832
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 徹也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40420228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 茂昭 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (80410223)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乾燥 / 生体 / 食品 / 非破壊測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、食品の乾燥プロセスに関連して1)冷凍ピザ生地の過熱水蒸気乾燥プロセスおよび2)高圧処理後の緑茶葉の乾燥プロセスに関する実験的検証を行った。1)については、異なる凍結温度(-5℃, -15℃, -25℃, -35℃, -45℃)および冷凍保存期間(1日間、15日間、25日間および35日間)で調製した冷凍ピザ生地試料を熱風乾燥および過熱水蒸気乾燥で焼成し、その焼成特性を計測するとともに、焼成後試料の表面色および粘弾性を計測した。凍結温度-5?C試料は15日間の冷凍保存後に含水率が顕著に低下した。焼成後試料の表面色変化は過熱水蒸気乾燥において熱風乾燥と比較してより顕著に変化した。また、冷凍保存期間が25日間および35日間の試料において高い粘弾性値(クリープ曲線に四要素モデルを用いて算出)が認められた。2)については、生茶葉に対して30℃~70℃の温度で0.1~800 MPaの圧力処理を施した後、1日間から5日間乾燥し、乾燥前後の試料のカテキン含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量した。その結果、30~50℃で200MPaの圧力処理を施した緑茶茶葉は、カテキン酸化率が減少することが分かった。すなわち、高圧処理には緑茶茶葉において熱処理と類似したカテキン酸化の抑制効果があることが分かった。先行研究によるとトマトやホウレンソウに対する高圧処理によるポリフェノールオキシダーゼ(PPO; polyphenol oxidase)の酵素活性の失活効果が明らかにされており、緑茶においても高圧処理によりカテキン酸化が抑制され、茶葉の発酵に大きく関わるPPOを失活させたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算の制約により高機能形熱画像計測装置の購入を断念したため、この点に関する進捗は本研究課題以外の競争的資金が獲得できるかどうかに依存するが、食品の乾燥プロセスに関する実験的検証に関しては十分な基礎データが得られたことから、当初の計画以上にとまでは言えないがおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
高機能形熱画像計測装置の購入に関しては本研究課題以外の競争的資金が獲得できるかどうかに依存するが、まずは同装置がなくとも実施可能な実験計画を立案し、遂行することとしたい。
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Causes of Carryover |
旅費および人件費が当初予定していた金額よりも少額となったことによるものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であるため、研究成果の公開に必要な諸経費に充当する。
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